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千葉工大の学長になった松井孝典さん「子どものポテンシャルを伸ばしてくれる学校を選ぶのか一番大事」

2020.07.02

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中村 正史
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「はやぶさ2」のニュースが流れる時、しばしば名前が出てくるのが、搭載されている観測機器を開発した千葉工業大学の惑星探査研究センターです。その所長で、地球・惑星物理学者として著名な松井孝典さんが、6月29日付で千葉工大の学長になりました。惑星探査から文明、日本の高等教育、学校選びまで、話題は多岐にわたりました。(写真は、東大退任時に教え子たちが贈ってくれた火星儀の横に立つ松井孝典さん)

【話を伺った人】松井孝典さん

話を伺った人

松井孝典さん

千葉工業大学学長

(まつい・たかふみ)東京大学大学院理学系研究科助教授、同新領域創成科学研究科教授を経て、2009年、千葉工業大学惑星探査研究センター所長。内閣府宇宙政策委員会委員長代理も務める。専門は地球物理学、比較惑星学、アストロバイオロジー、文明論。2007年、『地球システムの崩壊』で毎日出版文化賞。

ISSへのロケット事故で同情され、知名度が上がった

――千葉工大は今年の入試の志願者が10万人を超え、第6位になりました。入試方法を工夫しているとはいえ、驚きました。

千葉工大が注目されるようになったきっかけは、2014年10月と15年6月に、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶために、NASA(米航空宇宙局)が打ち上げたロケットが、2度続けて爆発した事故でした。このロケットに、千葉工大が開発した観測カメラが搭載されていたことが報道され、世間から「2度も続いてかわいそう」と同情されて、大学の知名度が一気に上がりました。それまでは、お母さん方が胸を張って「うちの子は千葉工大に行っている」と言いづらい雰囲気があったようですが、これだけの研究力や技術力を持っている大学であることが知られ、雰囲気が変わりました。それ以来、志願者がぐっと増えて流れが変わりました。

この観測カメラを開発したのが、私が所長を務める千葉工大の惑星探査研究センターです。小惑星探査機「はやぶさ2」にも深く関わっており、搭載されている観測機器のほぼ全てに参画しています。

――松井さんは、地球・惑星物理学者として東大で長く理論や実験をやってきて、2009年に千葉工大に移りました。どう変わりましたか。

千葉工大に来て、惑星探査研究センターをつくりました。最初は火星探査をしようと思いましたが、ローコストでできる惑星探査に戦術を変えました。小天体やダスト(流星物質)の探査です。その延長上に「はやぶさ2」があります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2024年に計画している深宇宙探査実験計画「デスティニー・プラス(DESTINY+)」は千葉工大と宇宙科学研究所(ISAS)の共同ミッションです。

センターをつくってからわずか10年で、日本の惑星探査はうちが関わらないとできないほど大きな存在となりました。この10年で世界的に千葉工大の名前が知られたのです。「はやぶさ2」が報道される時は、必ずどこかに千葉工大の名前が出てきます。この「はやぶさ」効果もあり、私が千葉工大に来た頃の志願者は3万~5万人くらいでしたが、10万人を超えるようになりました。

【文中写真】千葉工大キャンパス
千葉工業大学のキャンパスはJR津田沼駅のすぐそばにある

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