慶應SFC30年、立命館APU20年――日本の大学をどう変えたか

慶應SFC編④◆AO入試定員増でどんな学生を受け入れるのか

2020.07.08

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中村 正史
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この30年の日本の大学に大きなインパクトを与えたのは、「大学改革のモデル」と言われた慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)と、学生・教員の半数が外国人という立命館アジア太平洋大学(APU)だろう。奇しくも今年、SFCは30年、APUは20年を迎える。両大学は日本の大学をどう変えたのか、そして現在も開設当初の理念は受け継がれているのか、連載で報告する。
最初は慶應SFC。AO入試、学生による授業評価、シラバス(講義要項)、24時間キャンパス、セメスター制……。今では多くの大学が導入しているこれらを初めて採り入れたのがSFCである。問題発見・解決型の授業、グループワークやディベートなど双方向型の授業もしかり。その現在とは――。(写真は、キャンパスに集う学生たち。今年はキャンパスに入れず、こういう風景は見られない=SFC提供)

「すげー。自分もやってやろう」と奮い立つ 

SFCの入試は一般入試とAO入試があり、ほかに一貫教育校からの内部進学生、帰国生、外国人留学生が入ってくる。AO入試は、日本の大学で初めて導入したSFCにとって大きな特徴の一つで、2021年度の募集定員では、総合政策、環境情報の両学部とも、一般入試が各225人、AO入試が各150人と、AOが定員の4割を占める。

20年度までに比べてAOの定員を各50人増やし、選考は年4回、しかも入学時期を4月にするか9月にするか選べるようにした。AOと一般入試の定員の変更は、実態を反映したもののようだ。

受験業界は、SFCをどう見ているのだろうか。大学受験に40年以上関わってきた大御所、坂口幸世(ゆきとし)・代々木ゼミナール教育総合研究所主幹研究員はこう話す。

「一言で言えば、個性的で変わった学部。一般入試もユニークで、英語は日本一難しいと言われ、小論文も他学部と違う本格的な内容です。特徴だった双方向の授業や外国語・コンピューター教育を他大学が採り入れるようになって、以前ほど目立っていませんが、ユニークな卒業生が輩出し続けているのか、興味があります」

今の学生たちを取材してみた。

総合政策学部2年の熊澤龍生さん(19)は昨年、AO入試で入った。実家は明治初期から続く、地元では有名な酒蔵&レストラン。経営者としての父親の姿を見て、高校時代から起業に興味があった。SFCは幅広く学べそうなことと、卒業生に起業家が多いため、「SFCに行くしかない」とAO入試に挑戦した。志望理由書や自己PRの書類をつくるのが大変で、合格するとは思っておらず、ダメでも第1志望なので一般入試で再挑戦し、他に併願先として慶應の法学部やICU(国際基督教大学)を受験するつもりだった。

SFCに入って、面白い人がたくさんいることや、高校までとは違ってグループワークやワークショップを採り入れた授業に共感した。

最初に刺激を受けたのは、「政策コーカス」という、社会課題の発見・解決を目指し、プレゼンテーションで順位を競う授業。昨年は「アジアグローバル」がテーマで、古着の廃棄問題を課題に選び、約20人の仲間を募って夜遅くまで議論し、30チームの中で2位に入った。

連載第1回で紹介した「SFCスピリッツの創造」の授業も刺激になった。最初の講師がDrone Fund代表パートナーの千葉功太郎さんで、大講堂でいきなりドローンレースを披露し、「すげー。自分もやってやろう」と奮い立った。

【文中写真】SFCキャンパス
緑の多いキャンパス。ガリバー池(通称「鴨池」)は学生の憩いの場だ=SFC提供

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