どうなる中学・高校入試

学校説明会も入試もオンラインに? 試験日程や出題範囲はどうなる

2020.07.08

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葉山 梢
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斉藤 純江
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山下 知子
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新型コロナウイルスの感染拡大で休校や外出自粛が続いたため、来年の中学・高校入試に向けた学校説明会をオンラインで実施する取り組みが目立っています。さらに踏み込み、入試でもオンラインの活用を打ち出す学校が現れ始めました。

例年より参加者増える

5月30日、宝仙学園中学・高校(東京都中野区)の学校説明会がオンライン上で開かれた。登場する先生や生徒の自宅と学校をビデオ会議システムのZoomでつなぎ、その画面をYouTubeで配信。事前に登録した181組359人がパソコンやスマートフォンで視聴した。

中3の生徒3人と担任の座談会では、男子生徒の一人が先生と肩を組んだ写真を見せ、距離の近さをアピール。制服を見せながら「ワイシャツは3種類あり、ネクタイとリボンも選べる。気分でコーディネートできて楽しい」と話したり、文化祭の動画を見せたりする女子生徒もいた。富士晴英校長は「普段からアクティブラーニング型の授業をしているため、自分のアイデアや意見を言える生徒が育っている。きょうは何でも話していいと伝え、台本づくりも本人たちに任せています」と胸を張る。

校内の案内は、事前に撮影した動画を流した。卒業生が登場して中高時代を振り返ったり、入試の内容を説明したりする流れは従来と変わらないという。「オンラインで開いた4~5月の学校説明会は例年より参加者が多かった。来校する必要がないので気楽に参加できるのではないか。コロナが落ち着いても、相談会はリアルとオンラインを併用したい」(富士校長)

宝仙学園中学・高校
入試の説明は急きょ作った「撮影スタジオ」から配信した=5月30日、東京都中野区の宝仙学園中学・高校(撮影/岸本絢)

吉祥女子中学・高校(東京都武蔵野市)も5月に予定していた学校説明会をウェブ開催とし、1本10~15分程度の学校紹介や休校期間中の教育活動の紹介、卒業生座談会などの動画10本ほどを希望者に2週間配信した。小学6年生だけでなく5年生以下の希望も多く、合わせて約2600人が視聴した。シンガポールなど海外の小学校に通う児童、保護者からの視聴申し込みもあった。

感染拡大の影響で、同校は9月中旬に予定していた文化祭を11月7、8日に延期。来校は生徒と保護者に限るが、校外向けには「ウェブ文化祭」として動画などを配信し、学校の雰囲気を感じてもらう予定だ。

首都圏模試センターが5月24日と7月5日に開いたオンライン合同説明会「おうちde説明会・相談会」には、首都圏の私立中学校100校以上が参加した。同センター教育研究所長の北一成さんは「従来の学校説明会は会場まで足を運ばなければならず、1日に複数校を回るのは難しかった。コンベンションホールなどで開かれていた合同説明会も、個別相談を受けるには長い列に並ぶ必要があるうえ、相談時間は10分程度しかなかった。オンラインなら、複数校をはしごできるし、志望校の先生と1対1でじっくり話せる」とオンラインの良さを強調する。参加した親子からも「先生との距離が近く感じ、リアルよりむしろ親しみがわいた」という声が寄せられているという。

大手進学塾の浜学園(兵庫県)によると、関西圏では6月から、来校型の学校説明会や個別相談会が開かれるようになった。新型コロナウイルスの感染状況が、首都圏よりひと足早く落ち着いたことが影響したとみられるという。「オンラインを使った学校説明会は、首都圏の私立中のほうが積極的」(経営企画部の担当者)だという。

帰国生入試でオンラインを試行

入試についてもオンラインの活用を打ち出す学校が出始めている。

仙台市の秀光中等教育学校(2021年度、秀光中学校に改組予定)は、来年度入試の一部をオンラインで実施する。主に首都圏在住者を対象に、来年1月に行う入試「秀光トライアル」で、2次試験の面接をZoomで実施するほか、従来は都内の大学などで実施していた4教科の1次試験も、入試日に緊急事態宣言が出るなど外出が困難になったときはオンラインに切り替える。その場合、受験生は自宅のパソコンかタブレットで問題をダウンロードして解答。試験時間が終われば、自動的にアップロードされて答案用紙を回収できるシステムを使う。試験日の1週間ほど前に、受験生と接続テストをして万全を期すという。

同校の高橋澄夫・入試広報部長は「1次試験は基礎学力を問う問題が中心で、合否判定では参考資料の一つとして扱う。より重視しているのは2次試験の面接。内容を工夫することで、受験生の学力を多角的に評価したい」と話す。

かえつ有明中学・高校(東京都江東区)は7月1日、帰国生向けの編入試験をオンラインで実施した。従来は校内で、英語の長文読解の筆記試験と日本語・英語の作文の試験をしていた。このうち、筆記試験については英検などの成績を提出してもらうことで代替。作文は試験が始まる直前、オンラインで問題にアクセスしてもらい、定めた時間内に手書きで答案を作成し、写真に撮ってただちに送ってもらうことで不正を防ぐことにした。

宇野岳史・広報部長は「来年度の一般入試については例年通りの準備を進めているが、並行してオンラインも検討しなくてはいけないと思っている」と言う。

宝仙学園中学・高校も5月の編入試験で、3教科のオンライン入試を試行した。受験生に教員がマンツーマン形式でつき、Zoomで解答の様子をモニターした。問題がなかったため、来年の帰国生入試で正式に導入するという。

同校の一般入試は4教科型のほか、英語で学習歴を話す「グローバル」や、好きな本を紹介する「読書プレゼン」など10種類のタイプがある。富士校長は「プレゼンテーション型の入試はオンラインでも可能。エントリーシートは動画で出してもらってもいいし、柔軟に考えたい」と前向きだ。

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