どうなる中学・高校入試

「第2波」懸念、オンライン授業は定着したか 灘で浮かんだ課題 開成は中間考査でも活用

2020.07.09

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斉藤 純江
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新型コロナウイルスの感染拡大で、この春は学校のオンライン授業が注目を集めました。ようやく登校が再開されましたが、今後の感染状況によっては再び休校を迫られるかもしれません。テレビ会議や動画配信システムを使い、いち早く遠隔授業を採り入れた学校に、取り組みの成果や浮かんだ課題を聞いてみました。

朝礼から6時間目までオンラインで

西大和学園中学・高校(奈良県河合町)は新年度が始まって間もない4月6日から、高校の授業をすべてオンライン化した。朝礼から6時間目まで授業を実施。ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」やユーチューブ、学習管理ツールのグーグル・クラスルームを使い分け、1コマ50分という授業時間で、オンライン用の時間割を組み、リアルタイムで双方向の授業を進めた。

実施に先立ち、校内では4月1日に情報科の教員を講師役にシステムの使い方を学ぶ講習会も開いた。

授業は最初に動画を流してZoomで質問を受けたり、「新型コロナウイルスが社会に与える影響」についてZoomでディスカッションしたり、各教員が試行錯誤しながら展開した。

4月中は英数国理社の主要5教科を中心にし、5月からは実技教科も始めた。オンライン授業が続くことで、肩こりや目の疲れを訴えたり、外出できないストレスを感じたりする生徒もいたので、体育ではストレッチや体操などを採り入れたという。

中岡義久・高校校長は「高校の生徒はもともと、学習の補助ツールとしてノートパソコンを1人1台持っていたので、スムーズにオンライン授業へ移行できました」と話す。中学では、個人所有のパソコンを持っていない生徒には学校の備品を貸し出した。4月中は既存の学習動画配信サービスとリアルタイムの双方向授業を併用し、5月からは高校と同様に、オンライン用の時間割を組んで同時双方向授業とした。

「オンライン授業や教材は、『わかりやすい』『チャットを使って質問しやすい』など、生徒の評判はおおむねよかった。『通学時間がかからないので、自由時間が増えた』という生徒もいました」(中岡校長)。生徒の中には、自分たちでZoom自習室を開いて、友人と勉強する生徒もいたという。

中岡校長は「オンラインは利便性が高いが、一方で、友人と直接会って、人との関わりの中で学ぶこともある。今後は、対面とオンラインのそれぞれのよいところを採り入れて、より効果的な学習方法を考えたい」と言う。

パソコンなくスマホで勉強した生徒も

灘中学・高校(神戸市)は5月の連休明けから、グーグル・クラスルームを使って録画した映像を配信するなどして、生徒側が自分のペースで学べるオンデマンド形式でオンライン授業を始めた。和田孫博校長は「パソコンをきょうだいで共有していたり、家に自分の個室がなかったり、家庭の様子が画面に映るのがいやだったりする場合もある。そのため、リアルタイム形式にこだわらず、生徒が取り組みやすい形にした」と話す。オンライン授業を実施した期間は3週間。3週間分の動画や課題を先にまとめて配信する教員もいれば、毎日配信する教員もいたという。

課題として浮かんだのは、自分用のパソコンがなくスマートフォンを使うなど、勉強する環境が不十分な生徒が何人かいたことだ。和田校長は、「政府が全国の小中学生に『1人1台』パソコンなどを配備する計画で私学にも半額補助が出ることもあり、2学期には中学生全員にパソコンを配れる見込みです」と話す。自宅にプリンターがなく、オンライン上で課題などを見ることはできても、印刷できないという生徒も意外に多かったという。「USBメモリーにデータを保存して、コンビニで印刷するなどしていました。大きなトラブルにはなりませんでしたが多少の不便はあったようです」(和田校長)

今回の休校を機に、教員のITスキルは大幅に向上したといい、和田校長は「新型コロナウイルスの第2波、第3波が来て再び休校になっても、いつでもオンライン授業に切り替えられます」と自信を見せる。生徒や家族が新型コロナウイルスに感染し、長期に登校できなくなった場合には、授業風景をビデオカメラで撮影し、自宅で視聴できるようにするという。

灘中学・高校の授業
休校明けの灘中学・高校の授業。感染防止対策として、教員は大声を出さなくてもいいよう、小型マイクをつけて授業をしている(同校提供)

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