どうなる中学・高校入試
コロナ、リーマンより大きな影響? 私立中受験者数は減少か 受験生と保護者はどう動く
2020.07.10

新型コロナウイルスの感染拡大は、今後の中学入試や高校入試にどんな影響をもたらすのでしょうか。
中学入試
受験率は数年かけて落ち込む?
中学入試の動向は、経済状況に大きく左右されてきた。森上教育研究所の森上展安代表は「2008年のリーマン・ショックの時は、首都圏で数年かけて受験者数が2割ほど減りました。今回は経済的打撃が、より広範囲の職種に及んでいるので、08年当時より影響は大きいかもしれません」と話す。受験勉強を続けてきた6年生より、これから受験を本格的に考える4年生や5年生が、家庭の経済事情などから受験をやめるケースが多いのでは、という。「難関といわれる学校より中下位校のほうが、受験者数の減りが大きいかもしれません」
森上教育研究所の調査では、首都圏の受験集中日である今年2月1日に、私立中の入試に挑んだ1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の受験生は約4万1千人で、同地域の公立小に通う6年生のうち14.3% が受験した(グラフ①)。大学入試改革に対する不安感などから、受験率は15年の12.2% を底に、5年連続で増え続けてきたが、来年は減少に転じる可能性が高そうだという。

首都圏以外ではどうか。関西の中学入試に詳しく、教育情報発信サイト「ミライノマナビ」(https://mirainomanabi.up-edu.com/)を運営する萩原渉さんは、「関西圏の中学受験率はおよそ1割。AI やグローバル時代に対応した教育への期待感などから、ここ数年は好調だった」と言う。特に大学付属校の人気が高かったが、経済が厳しさを増せば受験率に影響しそうだという。

学校選びの基準も変化?
中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表の矢野耕平さんは、「目に見えないウイルスが保護者の心に与える影響は非常に大きい。来年以降の中学受験事情は、大きく変わる可能性があります」と指摘する。私立中は電車通学の生徒も多い。保護者からは「子どもを長時間、電車に乗せたくない」「満員電車は避けたい」という声を聞くことが増えているという。「都心の繁華街やオフィス街など人の集まる場所を避け、自転車で通える近距離の学校や、電車の混雑を避け、下り方面の電車で通える地域の学校を選んだりする動きがありそうです」