学習と健康・成長

ジャイアンものび太も自分らしく 民主主義と子どもの権利、家庭内にこそ考える機会

2020.07.28

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有馬 ゆえ
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一斉休校や夏休みの縮小など、いま子どもたちの生活は政治の影響を大きく受けています。日本の政治を語る上で欠かせないキーワードに「民主主義」がありますが、そもそもこれはどんな立場なのでしょうか? 民主主義と子どもの権利について親子で学ぶべく、政治学者の中野晃一さんに解説していただきました。

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話を伺った人

中野 晃一さん

政治学者、上智大学国際教養学部教授

(なかの・こういち)東京大学文学部哲学科、英国オックスフォード大学哲学・政治学科の両校を卒業したのち、米国プリンストン大学で政治学の修士号および博士号を取得。著書に「野党が政権に就くとき: 地方分権と民主主義」(人文書院)、「右傾化する日本政治」(岩波新書)、「戦後日本の国家保守主義 : 内務・自治官僚の軌跡」(岩波書店)などがある。

自分らしくいられる社会のために

――日本の政治は「民主主義」という立場を取っています。対義語に「君主制」「独裁制」などがあり、辞書では「国民が主権をもつ政治形態」と説明されています。民主主義とは、どんな立場なのでしょうか?

民主主義とは、みんなのことはみんなで決めていくという政治的立場です。その大原則は、すべての人には生まれ持った権利があり、等しく尊重されるべきということです。

人は皆、自分らしく生きたいという思いを持っています。何を食べるかに始まり、どんな夢を持ち、どんな人を好きになり、だれと生き、何を仕事とするかなど、自分らしい選択をくりかえしながら人生を送りたいと考えている。

一方で、人間はほかの人と関わり合い、支え合いながら生きる動物です。例えば、山奥へ行って一人きりで生きることもできますが、それでは生きるだけで精一杯になってしまう。人間らしい生活を送るためには、共同体で暮らすことが前提となりますよね。

民主主義という言葉が生まれた古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、人間にとって共同体で生きることが自然であり、同時に人間が持っている能力や可能性をフルに生かす条件である、と言っています。

――共同体で他者と一緒に生きてこそ、真の自分らしさを発揮することができるわけですね。

そうです。ただそこで問題になるのが、他者に命令したり、暴力をふるったりして思い通りにしようとする人の存在です。人と暮らすことの難しさは、必ず力関係が生まれてしまうこと。力の強い人に支配されてしまえば、一人ひとりの権利や自由は守られなくなってしまいます。

共存のなかで生まれる暴力を許さないために、みんなのことはみんなで決める。これが民主主義の原点です。

「ドラえもん」でたとえるならば、ジャイアン的な存在がいようとも、ジャイアンものび太も自分らしく尊重される社会であるために政治があり、民主主義があるということです。彼らはともに、個の人間として侵されない権利を持っているのですから。

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