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東大大学院准教授の両角亜希子さん「混乱期こそ大学のマネジメント力が問われる」

2020.07.27

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中村 正史
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新型コロナウイルスの影響で、大学は経験したことのない事態に見舞われています。大学経営論が専門で、「大学入試のあり方に関する検討会議」委員でもある東京大学大学院教育学研究科の両角亜希子准教授に、オンライン授業から大学入試、大学経営まで、「ポストコロナの大学運営」について聞きました。(写真は、大学入試のあり方に関する検討会議で発言する萩生田光一文部科学相)

【話を伺った人】両角亜希子さん(トリミング)

話を伺った人

両角亜希子さん

東京大学大学院教育学研究科准教授

(もろずみ・あきこ)慶應義塾大学環境情報学部卒、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。産業技術総合研究所特別研究員、東京大学大学総合教育研究センター助手、助教、東京大学大学院教育学研究科講師を経て2013年より現職。専門は大学経営論。著書に『学長リーダーシップの条件』など。

深い学びを体験した学生は、従来の授業では満足しない 

――4月からオンライン授業が続いていますが、どう受け止めていますか。

私が所属する大学院教育学研究科は、4月第1週からオンライン授業をしています。やってみたら、思っていた以上によかった、技術的なハードルもそこまで高くなかったというのが実感です。対面授業より質を落とさないよう準備したこともあって、授業の質は落ちていません。むしろ、学生のレポートの内容は以前よりよくなりました。

3月末に大学の研修を受けた時に、ずっと画面を見続けて講義を受けるのはきついと感じたので、授業の仕方をそれまでとは変えました。知識を伝えるだけでいいものはGoogle Classroomに動画を上げて、オンデマンドで事前に学生に見てもらい、課題を与えて、実際の授業はグループワークやディスカッションを徹底して行いました。学生は授業外の学習時間が増えたと思いますが、有効な方法でした。

私が担当したのは大学院の「大学組織論」なので、授業の特質にオンラインが合ったことがあるかもしれませんが、学生は一度、深い学びを経験すると、以前のように、ただ授業を聞くだけでは満足しなくなると思います。

――学生が事前に知識を学んで、授業はディスカッション中心にするのが、大学の授業の目指すべき方向だと思います。オンライン授業によって、それが実現できたのではないですか。

オンライン授業は、与えられた時間帯と場所が限られるので、授業の中でできること、授業の前にできること、授業の外でできることは何かを真剣に考え、授業を設計しました。その体験は、オンラインだろうが、対面だろうが、今後も生きていくと思います。

今後、オンラインと対面授業をどう組み合わせるのか、よほど考えないと、個々の教員が好き勝手にやったのでは、学生は迷惑でしょう。今までは大学がカリキュラムや時間割を組む時には、個々の教員の希望で提供する科目、担当する学期や時間帯が組まれていて、調整の余地がほとんどなかったのですが、今後は調整していかざるを得なくなると思います。

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