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歴史タレント堀口茉純さん 山脇学園 中高時代は徳川家茂と田沼意次に「胸キュン」

2020.07.30

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橋爪 玲子
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江戸に詳しすぎるタレント「お江戸ル“ほーりー”」としてバラエティー番組にも出演する、歴史好きタレントの堀口茉純さん。子どものころから歴史好きだったそうですが、何がきっかけだったのでしょうか。

堀口茉純さん

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堀口茉純さん

歴史タレント

ほりぐち・ますみ/1983年生まれ。東京都出身。山脇学園中学校・高校を経て、明治大文学部卒業。2007年に役者として時代劇デビュー。江戸文化歴史検定1級を最年少(当時)で取得。舞台やテレビドラマに出演するだけではなく、11年に「TOKUGAWA15/徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本」(草思社)を出版。最新刊に「胸キュン?!日本史」(集英社)がある。公式ホームページはhttps://hoollii.com/

沖田総司に恋をした

――歴史に興味を持ったのはいつ頃からですか?

おじいちゃん、おばあちゃん子だった私は、二人の時代劇好きの影響で、物心ついたころから「お侍さんがいる世界」に憧れていました。歴史好きに拍車がかかったのは、小学校4年生のときです。父の書斎にあった司馬遼太郎の小説「燃えよ剣」を読んで、新選組にハマり、沖田総司に恋をしました。好きな人のことってもっと知りたくなりますよね。関連本などを読み漁り、新選組とゆかりのある菩提寺に足を運んでみたりもしました。こんなにすてきな人たちがいるのに、周りの子たちは誰も知らない。彼らの良さを伝えたくて、自由研究では、アイドルグループでも研究するかのように、“新選組”というとてもすてきなチームがあり、なかでも一押しはこの人です、と紹介するものを作りました。

――中高一貫の女子校に進学したそうですね。

山脇学園に進学しました。戦争を経験している祖母が、自分は女学校には通えなかったけれど、職場に山脇の制服を着た子たちが来ていたのが印象に残っていたそうです。山脇の制服は日本で最初に制定された洋装制服で、祖母にあの制服を着てほしいと言われ、行ってみようと思ったんです。

中学では演劇部に入りました。当時の私の夢は「志をもって、それに向かってぶれずに進んでいく侍になること」でした。なので、剣道部でしょうと思っていたのですが、演劇部の公演を見たら、女子校なので、男役をやっている先輩たちがすごくかっこよくて、入部を決めました。

中学時代の堀口さん(本人提供)
中学時代の堀口さん(本人提供)

中学2年生の時に公演した「蝶々夫人」では、主役を演じました。いろいろと自分で調べてみると、江戸時代ってこういう時代だったと具体的にわかり、どんどん面白くなる。着物もお稽古のたびに着ると、着物って素敵な文化だなと好きになっていく。そして何よりも、公演の日、学校の大きな講堂で蝶々夫人を演じる私の発する言葉で、観客が泣いたり笑ったりする姿を目の当たりにしたときに、お客さんに届いたと実感が持てたんです。あの経験で、伝えることの面白さを知りました。

歌舞伎役者になりたかった

――当時からお気に入りの歴史上の人物がいたそうですね。

中学のときは、14代将軍の徳川家茂でした。新選組を調べていくと、家茂は同じ時代の将軍なので必ず登場してきます。でも、どういう人なのかが全然わからなくて、自分で調べることで、自分なりの史観を持つ楽しさを家茂が教えてくれました。

高校では田沼意次に興味を持ちました。きっかけは日本史の先生のひとことです。授業中に先生が「田沼意次は誤解されがちだけれど、実はすごい人だったんだ」とポツリ。「何それ?」って。テストには絶対でないけれど、そういう興味をもつようなことを話してくれる先生の授業は大好きでした。

――卒業後の進路を悩んだそうですね。

卒業したら、歌舞伎役者になりたいと思っていました。中学になると「侍」という職業がないこともわかりました。高校時代は歌舞伎が好きで放課後は毎日のように歌舞伎座に通っていました。職業として歌舞伎役者だったら、江戸のお侍さんの格好もできるし、侍にいちばん近いのではないかと考えたんです。もちろん歌舞伎は男性しかできないことはわかっていたのですが、当時の私は「がんばってできないことはない」と思っていました。

撮影/高野楓菜(朝日新聞出版写真部)
撮影/高野楓菜(朝日新聞出版写真部)

先生に卒業後は歌舞伎役者になりたいと相談すると、やはり女性は入れない世界だと。それでもできると思うと言う私に、先生は「いいからやってみなさい」と。早速、国立劇場の歌舞伎役者の養成所に行ってみたのですが、門前払いです。ならば役者さんに弟子入りする方法があると考え、各役者さんに頼みにいきました。でもファンの子だと思われて、「ありがとうね」とあしらわれてばかり。そんななか、市川猿翁さんだけは「がんばりなさい」と言ってくれました。もちろん役者になることはできないけれど、違う形で歌舞伎や歴史に携わることはできる。大学に行って、歌舞伎のことなどをもっと勉強しようと切り替えることができました。

高校時代から私が大切にしている言葉が二つあるのですが、ひとつがこの猿翁さんからもらった言葉です。もうひとつが漫画「スラムダンク」に出てくる「あきらめたらそこで試合は終了だよ」という言葉。壁にぶち当たって、あきらめそうになるときに今も、この言葉を思い出して、もうちょっと頑張ってみる価値があるんじゃないかと、自分を奮い立たせています。

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