鉄ちゃんの育て方

読書感想文、ミステリーでも図鑑でも書ける!? 「感動は書かない」目からウロコの技

2020.08.04

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葉山 梢
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大好きな電車の本ならいくらでも読めるのに、「読書感想文」となると何をどう書けばいいのか分からなくなるという子どもは少なくないのではないでしょうか。そんな子でも無理なく書ける本の選び方と作文のポイントを、児童文学評論家の赤木かん子さんに聞きました。

赤木かん子さん

話を伺った人

赤木かん子さん

児童文学評論家

長野県松本市生まれ、千葉育ち。法政大学英文学科卒業。1984年に、子どもの頃に読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評などで活躍している。「お父さんが教える読書感想文の書きかた」(自由国民社)など著書多数。

筋の通った文章を書く練習

――今年も多くの学校で読書感想文が夏休みの宿題になっているようですね。読書好きで作文も得意な一部の子を除き、苦労するお子さんは多いのではないでしょうか。

論理的な日本語の文章が書けるようになることは必要だと思うので、私は読書感想文を宿題に出してもかまわないと思います。でも、出すなら書き方も教えないと……。

文章は大きく、本当にはないことを書く「物語文」と本当にあることを書く「リアル系」に分かれますが、物語文は作家が書くもので、一般の人は書けるようになる必要はありません。リアル系の主なものは、主観を書く「感想文」と「意見文」、客観的に書く「説明文」と「報告文」。大人が書くリポートはこの四つが入り交じっているものなので、この四つのリアル系の文章を書くことができるようになれば、会社に入っても報告書が書けるようになります。

読書感想文が悪いのではなく、やり方を教えないことが問題なのです。何の訓練もしていないのに、いきなりやれというのは無理です。書き方さえ教えれば、感想文はリアル系の文章なのですから、特に男子はすらすら書けるようになります。

――「鉄ちゃん」の我が子は鉄道関係なら大人向けの雑誌や新書も読みこなしますが、課題図書に選ばれるような感動的な物語には全く興味を持ちません。

多くの人が勘違いしているのですが、感想文は「感想」を書くものであって「感動」を書くものではありません。読んだ人が「なるほど、この人はこの本を読んでこう思ったんだな」と納得できる、筋の通った日本語が書けていればいいのです。

それに、あまりにも感動してしまうと人間、書けなくなるもので、深く感動した作品について書くにはプロの力量が必要です。なぜ小学生が感想文を書けないかというと、小学生にプロの仕事を要求するからです。

本の選び方で大切なのは、「最後まで読める本にする」「本人が魅力を感じたものにする」の二つ。本屋さんや図書館で、子ども自身に決めさせてください。どんな本でも感想文は書けます。つまらない本でも書けないことはないですが、「面白かった」「読んでよかった」と思える本のほうが書きやすいので、感想文を書くなら“面白かった”本のほうが楽なのです。

――「感動」でないなら、何を書けばいいのでしょうか?

まずは動機を書くこと。書き出しは「読書感想文に使う本を選びに本屋さんに行きました」でもOK。表紙とか題名とか、その本を選んだ理由が必ずあるはずなのでそれを書きます。電車が好きなら、図書館に行って「すごい!」と思った一番レベルの高い図鑑を借りてきてはどうでしょうか。

一つ目のパターンは、その本の中ですごいと思ったところを三つ、熱く語るやり方。多くの情報が詰め込まれたレベルの高い図鑑なら、見開き1枚に絞っても書くことはあるでしょう。好きなことならいくらでも書けるのではないでしょうか。二つ目のパターンとしては、違うものと比べる方法があります。たとえば図鑑を見て、スイスとマチュピチュの登山鉄道はどこが同じでどこが違うのか比べてみる、というように。

好きなこと、というのは情報もたくさん持っている、ということで、詳しい人の話というのは知らない人が聞いても楽しいものです。読んだ人が、へーっ、という感想文を目指してください。

物語でも、まず動機を書くのは同じ。次に、最初の設定の部分のあらすじを書き、そのあらすじの感想を書く。次は転換期のあらすじ、感想……と「あらすじと感想」のサンドイッチを作っていきます。その後は、起承転結の「転」で、物語の主人公と自分の経験を比べるとたいていうまくいきます。

最後は結論です。ここで動機を書いたことが活きてくるのです。動機を受けて、その本を読んで「わかったこと」を書きましょう。

このやり方なら30分で親が子どもに説明できます。最初に赤いサインペンで3行ずつ囲った原稿用紙を下書き用に用意するといいですよ。書ける人は無意識にやっていることですが、これくらい書くとこれくらいの分量になるな、というのが分かるようになります。

書き終わったら、書いたことが自分や誰かのプライバシーの侵害になっていないか確かめてくださいね。万が一コンクールで入賞したりしたら文集や新聞で公開される可能性があるし、どこでどのように使われるかわかりません。先生に「本当のことを書くように」と言われたとしても、人に知られたくないこと、言いたくないことは書かなくてもいいのです。

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