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立教大、日本初の観光学部 業界はコロナで「転換期」、学際的研究の意義高まる

2020.08.12

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濱田ももこ
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日本で初めて観光学部を開設した立教大。観光ビジネスに焦点をあてた学びを提供する大学は他にもあるが、文化交流や地域振興についても学べるのが同学部の特徴だ。卒業生は多面的なものの見方を身につけ、観光業以外でも活躍する。

経済学、経営学、文化人類学、社会学、心理学、文学、歴史学、地理学、建築学……これらは全て、観光に関係する学問分野だ。

「観光というと旅行ビジネスやホテル産業などをイメージすると思いますが、人の交流で生まれる文化や、人は何を楽しいと感じるのか、歴史上の価値観の変化なども観光学の対象です。非常に幅が広く学際的で、社会を理解する上で欠かせない学問です」

そう説明するのは小野良平学部長。自身は景観保全、風景計画、ランドスケープデザインを専門とする。

多角的に物事を見る力を養う

立教大に日本初の観光学部が開設されたのは1998年。しかし、同大の観光教育は70年にもわたる長い歴史を持つ。そのため、観光に関する多様なカリキュラムが展開されている。

「他大学にも観光学部や学科はありますが、ビジネスや経営を中心に学ぶところがほとんどです。本学ではビジネスはもちろん、文化交流や地域づくりなども学び、多角的に物事を見る力を養うことができます」(小野学部長)

同学部は観光学科と交流文化学科の2学科を擁する。観光学科は「ビジネスとしての観光」と「地域づくり」について、交流文化学科は「文化現象としての観光」と「地域のありよう」について学べるよう、それぞれ各学問領域が入り交じった構成でカリキュラムが組まれている。選択科目に違いはあるものの、どちらの科の授業も受講可能だ。2年次からのゼミも学科関係なく選択できる。

座学に収まらない学びで実践力も身につける

観光学科3年の岩田萌(もえ)さんは、ゼミで観光地ブランディングやマーケティングを学んでいる。グループごとに、実際の観光地を調査し、どうしたらその土地を盛り上げられるかなどを考える。岩田さんは、群馬県草津町、静岡県沼津市を担当した。

「役所に行き、そこで働いている方やまちづくりを実際に行っている方に困りごとなどをヒアリングして、そのエリアではどんなことができるのか話し合い、町や市の役員さんに提案します。学びながらも実際の地方行政に関わることができるうえに、行政の方も、若者の意見として尊重してくれるのでやりがいがあります

岩田萌さん
観光学部観光学科3年生の岩田萌さん。ゼミで沼津市を訪れた際の写真。「学部には旅行好きの人が多く、学年に関係なく海外旅行をすることもあります」(写真提供/本人)

また、岩田さんは「宿泊産業組織論」の授業の一環として、不動産・建築会社の蒼樹株式会社が運営するシアター設備のついた宿泊施設「Theater Zzz」で宿泊体験付きの学外授業を企画。「学生が受けたい授業を作ること」をテーマに自らアポイントをとり、CEOに講義をお願いした。

岩田さんが企画した泊まれるシアター「TheaterZzz」での授業風景。
岩田さんが企画した泊まれるシアター「TheaterZzz」での授業風景。自らCEOにアポイントをとって実現させた。(写真提供/本人)

出身の岩手県で小学校5年生のときに東日本大震災を経験したという岩田さん。地元のためになにか貢献したい、と観光学部に入学した。将来は地元に戻ることを考えていたというが、現在の夢をきくと、「学べば学ぶほどやりたいことが増えていく一方です。すべて実現させたい」と言い、目を輝かせた。

「大学で学んでみて、地方貢献といっても、手段は地元に戻って働くことだけではない、ということを知りました。都市にいながらでも、地方を盛り上げるためにプロモーション事業やイベントを展開することもできるし、WEB広告などで自治体と一緒になにかできるかもしれない。観光を軸に、興味の幅が広がりました」

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