コロナでどうなる大学入試

各大学の個別試験、新型コロナ対応の配慮とは? 主な大学の対応を紹介

2020.08.14

author
増谷 文生
Main Image

新型コロナウイルスの影響で、各大学が個別試験における出題範囲などについての「配慮」を発表しました。各大学で対応が分かれましたが、多かったのは「発展的内容を出す場合には補足説明を付ける」でした。一方、横浜国立大は受験生を集める学力試験を取りやめ、共通テストの結果と申請書類などで合否を決めることにしました。(写真は大阪大学の2次試験で試験開始を待つ受験生=2020年2月25日、細川卓撮影)

文科省から求められた「配慮」、各大学の決定は

各大学が、来年春の入学者を選抜する入試について、対応を発表しましたね。

新型コロナウイルスの感染拡大が高校に及ぼした影響が大きいので、文部科学省が各大学に対し、個別試験でどのように「配慮」するかを7月31日までに公表するよう強く求めていたものです。長期休校となり、学習に遅れが出ている高校生たちへの「配慮」を決め、ホームページなどで発表しました。

基本的な質問ですが、個別試験というのは。

大学入試のうち一般選抜では、大学入試センターが行う大学入学共通テストと、その後に各大学が独自に行う個別試験に分かれます。国公立大学では共通テストを1次試験とし、その結果と、2次試験として各大学が行う個別試験の結果を合計して、合格・不合格が決まります。

私立大の大半は、個別試験の成績だけで合否判定をします。しかし、同じ大学でも一部の入試方式、あるいは一部の学部・学科では、共通テストの成績だけ、あるいは共通テストの成績と個別試験の成績を合計して合否判定をするケースもあります。

コロナの影響を受けて、文科省が各大学に求めたこととは?

まず、個別試験の出題範囲について見てみましょう。

文科省は大学に対し、高3で学ぶことが多い地理歴史や理科などの科目について、主に以下の4点の配慮を求めました。

①  「(学習指導要領の範囲を超える)発展的な学習内容」を出題しない
②  解答する問題を選べるよう選択問題を設ける
③  「発展的内容」を出題する際には補足説明を書く
④  来年1月にある大学入学共通テストの成績の活用を2科目にせず1科目にする

それで、各大学はどう決めたのですか。

朝日新聞が、学部入試がある国立の全82大学と、規模の大きい公立7大学、私立13大学の計102大学を取材したところ、次のような結果でした。

①  発展的内容を出さないことにしたのは12大学でした。国立大は帯広畜産や茨城、岡山など10大学、公立は北九州市立、私立は関西学院です。
②  選択問題を設けるのは、いずれも国立の室蘭工業、山口、長崎の3大学です。
③  発展的内容を出す場合に補足説明を付けることにしたのは31大学でした。国立の北海道、名古屋、九州、公立の東京都立、名古屋市立、私立の上智、東京理科、中央などです。
④  共通テストの科目を減らすと回答したのは、国立の宮崎大だけでした。

個別試験の配慮に関する主な大学の対応

【受験生を集めての学力検査をやめる】横浜国立大

【発展的内容を出題しない】帯広畜産大、北見工業大、秋田大、茨城大、宇都宮大、埼玉大、東京外国語大、京都教育大、岡山大、愛媛大、北九州市立大、関西学院大

【選択問題を設ける】室蘭工業大、山口大

【補足説明を書いて発展的内容を出題】北海道大、弘前大、筑波大、東京工業大、東京農工大、東京海洋大、長岡技術科学大、山梨大、富山大、静岡大、浜松医科大、岐阜大、名古屋大、名古屋工業大、豊橋技術科学大、滋賀医科大、京都工芸繊維大、香川大、福岡教育大、九州大、九州工業大、佐賀大、大分大、熊本大、鹿児島大、東京都立大、横浜市立大、名古屋市立大、上智大、東京理科大、中央大

【複数の配慮の組み合わせなど】東北大、山形大、福島大、東京医科歯科大、電気通信大、愛知教育大、信州大、大阪教育大、奈良女子大、福井大、長崎大、大阪府立大

【出題範囲に変更なし】北海道教育大、小樽商科大、旭川医科大、岩手大、筑波技術大、宮城教育大、千葉大、東京大、お茶の水女子大、東京学芸大、一橋大、新潟大、上越教育大、金沢大、三重大、滋賀大、京都大、大阪大、神戸大、和歌山大、鳴門教育大、鹿屋体育大、大阪市立大、早稲田大、慶応義塾大、明治大、青山学院大、立教大、法政大、関西大、立命館大

【配慮はするが検討中】群馬大、奈良教育大、鳥取大、広島大、島根大、徳島大、高知大、宮崎大、琉球大、兵庫県立大

【その他】東京芸術大、兵庫教育大、同志社大

※7月31日午後6時現在、朝日新聞まとめ。一部学部・学科、一部科目での対応も含む

大学側はこうした判断についてどのような説明をしているのですか。

例えば、発展的内容を出題しないと決めた茨城大は「学習の遅れなどで、すべての受験生が公平に受験できない事態を避けるため」としています。また、「出題する場合は補足事項を記載する」とした北海道大は「教科書によっては、発展的な学習内容と明示されていない場合もあるため、大学側が判断することにした」と説明しました。

試験科目ごとに配慮の内容を変える大学もあります。その一つ、信州大は「これまでの受験生と比べ、今年の高3生は大変だろうと考えた」と説明しています。

新着記事