大学合格者ランキング2020 現役「進学率」編
全国公立大トップは長崎の公立中高一貫校 7割超が現役で進学
2020.09.01

大学合格者ランキングでは、1人の受験生が本命と併願の大学・学部に複数受かった場合、合格の数をすべて数える「延べ合格者数」が一般的だ。本連載では、同じ大学の複数学部に合格した際には1人と数える「実合格者数」についても紹介してきた。進学実績をより正確に表すのが、実際にどの大学に進んだかを示す「進学者数」だ。現役の進学者数を卒業生数で割った現役「進学率」について、大学通信の安田賢治常務が解説する。
毎春、高校別の大学合格者数ランキングが注目を集めるが、合格者のうち何割が進学しているかは別の話だ。そこで、現役の大学進学者数を全国の高校にアンケートし、1933校から回答を得た。今回はすべての国公立大への現役進学率をまとめた。
全国公立大のここ3年の本命率(現役進学者数÷現役合格者数×100)は88.7%、89.8%、89.1%と推移している。1割以上が合格しながら入学を辞退している計算になる。私立大に進学したり、第1志望の国公立大を目指して浪人したりするなど、理由はさまざまだろう。今年に限っては、コロナ禍の影響で地方の国公立大進学を諦めた受験生もいたようだ。
その中で現役進学率がトップだったのが、諫早(長崎)の71.6%だ。卒業生の7割以上が現役で国公立大に進学していることになる。国立大の進学先は長崎大52人、九州大23人、熊本大19人などだ。2011年に中学が開校し、公立中高一貫校となった。
ランキング上位にSGHやSSH指定の公立校
トップ10の公立校を見ると、諫早のほかに6位の広島と7位の長崎東が、ともに04年に中高一貫校としてスタートしている。広島は文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定され、グローバルリーダー育成を目指している。SGHでは、大学と連携して課題研究を行い、発表する場を設けている。こういった取り組みは、推薦入試(2021年度入試から学校推薦型選抜)などで活用できる。同校は16年から始まった東大推薦入試に、この5年で9人が合格し、合格者数トップの実績を残している。
ランキング2位は高岡南(富山)の69.6%だ。本命率が98.2%と高く、現役合格者114人中112人が進学と、入学辞退者が極めて少ない。進学先は富山大32人、金沢大18人など。3位は松山南(愛媛)の68.5%だ。進学先は愛媛大113人、岡山大15人など。同校は文科省から、理数教育に先進的に取り組むSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている。SGHと同様に、大学と連携しながら課題研究を行っている。ほかにも4位の藤島(福井)、11位の長崎西がSSHに指定されている。
全体を見ると、公立校が強い。私立の中高一貫校トップは31位の白陵(兵庫)だ。また、大都市圏の学校は分が悪く、東京圏のトップは73位の聖光学院(神奈川)、近畿圏では26位の堀川(京都)だった。地元に大手私立大が数多くあり、国公立大へのこだわりが薄いからとみられる。一方、国公立大現役進学者数トップは、13位の金沢泉丘(石川)の252人、次いで28位の済々黌(熊本)の242人、松山南の241人の順だった。
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