学習と健康・成長

英語のスペルと発音にはルールがある? 音声学習法「フォニックス」とは

2020.09.03

author
夏野 かおる
Main Image

英語の文字(つづり)と発音の関係性を学ぶ音声学習法「フォニックス」。もともとは英語圏の子どもたちに読み書きを教えるために開発された学習法ですが、英語4技能の習得に向けて近年、注目を浴びています。今回はmpi松香フォニックス名誉会長の松香洋子さんに、フォニックスの効果や適した年齢、これからの時代に英語を学ぶ意義について伺いました。

Yoko_Matsuka

話を伺った人

松香洋子さん

mpi松香フォニックス 名誉会長

(まつか・ようこ)玉川大学文学部英米文学科、早稲田大学英語学専攻科卒業、米カリフォルニア州立大学大学院修了。オランダ・ユトレヒト大学客員研究員として英語教育を研究。日本にはじめて本格的にフォニックス学習を導入、1979年に松香フォニックス研究所を設立。 読み書き指導中心の日本の英語教育に疑問を持ち、40年にわたり児童英語教育の普及に貢献。 2005年、宮沢賢治学会イーハトーブ賞奨励賞受賞。2008年、英国国際研究所第1回国際言語教育賞「ことばと教育」児童英語教育部門(伊藤克敏賞)受賞。

暗記からの脱出をめざして

――そもそも、フォニックスとはどのような教育法なのでしょうか?

19世紀初頭に英語圏の子どもに向けて作られた教育法です。発音とスペルの対応関係が84のルールで整理されており、英語の音声を手掛かりに単語をスペリングできるようになるのが特徴です。

フォニックスが考案される以前は、英語圏の子どもたちは英語のスペルを丸暗記する必要がありました。そのため、会話は難なくできる一方で、読み書きができない子どもが少なくなかったのです。そこで、もっと簡単にスペルを覚えられるよう、子どもたちになじみがある「音声」から出発できないか、と発想されたのがフォニックスです。

——ネイティブですらスペリングに苦労するとは、驚きました。

そうなんです、これはアルファベットの特徴に原因があります。

日本語では、「あ・い・う・え・お」の5文字を覚えると、「いえ(家)」「あお(青)」「うえ(上)」などの単語の読み書きができますよね。これはひらがな(カタカナ)が発音と1対1で結びついているからです。

一方でアルファベットはどうでしょうか。ひらがなより種類が少ないので、文字自体はすぐに覚えられるでしょう。でも、発音は1対1で対応していません。だから、「bed(ビー・イー・ディー)」のスペルと「ベッド」という発音が頭の中で結びつきづらいのです。

この文字と発音のギャップを埋めるのが、フォニックスなのです。現在、フォニックスは英語圏の幼稚園や小学校で広く取り入れられており、日本でも大阪府の公立学校など一部で導入されています。

——2020年度から小学校英語(※)が拡充されますが、一般的な学校での英語教育法と比べて、フォニックスが優れているポイントはどこでしょうか?

日本の学校教育ではアルファベットを教えた後、いきなり英語の文章を音読させることが多いです。これは、ひらがなを覚えたての子どもに漢字の入った文章を読ませるようなもの。これまでの内容と差がありすぎて、何がなんだか分からなくなってしまう子どもがたくさんいます。

子どもたちはよく「暗記が苦手」と言います。暗記ができないのでスペルが覚えられない。すると、テストで点が取れず、英語が嫌いになる……このような流れで苦手意識を抱くのです。

一方で、フォニックスはアルファベットから文章への移行をスムーズにする役割を果たします。フォニックスのルールを習得しておけば、単語を正しく発音できるし、音を知っている単語は書ける。流暢な発音とスペルが同時に習得できるのが大きな特徴です。

※これまで小学5・6年生時に実施していた「外国語活動」(年間35コマ)が小学3・4年生時に前倒しになり、小学5・6年生は新たに「外国語」(年間70コマ)が導入される。

フォニックス1

新着記事