子ども3人を大学へ

子ども3人が中高大に同時進学、学費はどう準備する? とりあえず…では家計が破綻

2020.09.07

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南澤 悠佳
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子育て世代のお金の悩みに、ファイナンシャルプランナーでお子さんをもつ坂本綾子さんがお答えします。

180x180坂本綾子氏

話を伺った人

坂本綾子さん

ファイナンシャルプランナー《CFP(R)認定者》

(さかもと・あやこ)坂本綾子事務所(http://www.fpsakamoto.jp/)代表。20年を超える取材記者経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナーを行っている。著書に「今さら聞けないお金の超基本」(朝日新聞出版)、「まだ間に合う! 50歳からのお金の基本」(エムディエヌコーポレーション)など。

Q.中学、高校、大学と、子どもたちが3年後に同時に進学します。教育資金をどのように準備したらいいでしょうか?

《相談者はこんな人》

東京都在住、女性40歳(正社員)
家族は会社員の夫45歳、高校1年生の長男、中学1年生の長女、小学4年生の次男
※子どもたちの学校は全員公立

マンション住まい(持ち家)
収入=年収700万円(夫)+年収400万円(妻)
支出=年間600万円くらい(住宅ローン月12万円、物件は5000万円、35年払い)
貯蓄=550万円
教育資金は、長男:学資保険(満期金は300万円の予定)、長女:定期預金120万円、次男:定期預金60万円※定期預金は毎年それぞれ20万円ずつ

A. 複数の子どもがいる場合は、合計の教育費が年間でいくらになるか表を作って確認し、貯蓄の目標額を決めましょう。

坂本さん 3年後にお子さんが全員進学するのですね。今後、3人合計の教育費が年間でどれくらいかかるか計算してみましたか? できれば表を作って見通すとわかりやすいですよ。

相談者 それが面倒に感じてまだ計算していなくて……。はっきり数字を見るのが怖いという気持ちもあります。

坂本さん お子さんが3人いるので、とりあえず今年と来年は乗り切れる……では、家計が破綻(はたん)してしまいます。

相談者さんの場合、長男が大学に入学してから次男が大学を卒業するまでの10年間に多くの教育費がかかります。今後、どの年にいくらかかるのかを把握し、そこから逆算して、いくら用意したらいいのかを考えましょう。

例えば、長男は国立大学理系、長女は公立高校から国立大学文系、次男は公立中学から公立高校・国立大学文系に進学した場合で見てみましょう。国立大学は、文系も理系も学費は同額です。

◆長男が大学に入学後10年間の教育費合計

長男が大学に入学後10年間の教育費合計
平成30年度子供の学習費調査、国公私立大学の授業料等の推移(文部科学省)を参考に作成

坂本さん 文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」と「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」を確認すると、それぞれの初年度にかかる費用は以下の通りです。

国立大学初年度費用……約82万円(授業料……約54万円)
公立高校初年度費用……約51万(授業料……約2.5万円)
公立中学初年度費用……約46万円(授業料……0円)

教育費用は、高校まではその年の収入から支払い、学費が高額になる大学からためておいた教育費を使うのが原則です。

まずは長男の大学の費用から考えてみましょう。国立の場合、大学に支払う入学金や授業料の合計は4年間でざっと244万円。ほかに、パソコンや教材費などを考慮しても、学資保険の満期金の300万円から用意できそうですね。

次に、長女と次男の大学費用はどうでしょうか。教育資金として、毎年、各20万円の定期預金をしています。大学入学までの年数から計算すると、今のペースならどちらも200万円ちょっとになります。長男同様に国立なら入学金や授業料はなんとかなりそうです。

相談者 良かった、ほっとしました。ただ、長男が私立大学の理系志望で、長女は私立高校、次男も私立中学への進学希望なんです。そうなると用意すべき額が変わりますよね。

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