慶應SFC30年、立命館APU20年――日本の大学をどう変えたか

APU編⑨◆出口治明学長インタビュー(上)「地域開発と観光の新学部を2023年に開設」

2020.09.11

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中村 正史
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これからの新しい観光は地域振興そのもの 

――来年の大学入試で、留学できないならと受験生が国際系を敬遠する動きが出ています。

ウィズコロナの時代は長くありません。僕の友人の学長は、自分が免疫系の医学者ならすぐに学長を辞めると言っています。ワクチンや薬を開発したら歴史に名前が残る、ノーベル賞ものですよ。大金も手に入る。このインセンティブの強烈さを考えれば、開発されるまでそんなに時間はかからないでしょう。

人生100年時代です。ウィズコロナの時代は1、2年、悲観的に見ても2、3年です。若者には、そんな狭い視野で考えていいのかと言いたいです。

――新型コロナの渦中に出てきた秋入学論については、どう思いますか。

今回の一番の失策は秋入学です。いま最も不安に思っているのは高校3年生でしょう。普通に考えれば、来年から大学は秋入学を導入すれば解決するんですよ。APUはもう20年、春と秋の入学を行っています。文部科学省は統一試験(大学入学共通テスト)を1月に行うと発表していますから、統一試験を使って大学は春と秋に2回選抜すればいいのです。やらなければ交付金を削減すると文科省が言えば、大学はやりますよ。小学校から高校までは、大学の秋入学の定着状況を見て、5年くらいかけて移行すればいい。時間軸を分けて考えればいいことをリーダーもメディアも全く指摘せず、小学校から大学まで一斉にという画一主義にとらわれていました。僕は20年前から秋入学論者です。

――新学部についてお尋ねします。学部の内容、定員はどうなりますか。

2023年に、地域開発と観光をセットで学ぶ新学部をつくります。今までの観光は名所旧跡を見て帰るものでしたが、これからの観光はその地域の文化や生活慣習、伝統を楽しむものになります。それは地域振興と同じです。僕が委員をしている内閣府の「まち・ひと・しごと創生会議」でも、関係人口(特定の地域に継続的に多様な形で関わる人口)を増やすしかないという話になっています。これからの新しい観光は地域振興そのもので、観光は地域開発であり、地域開発が観光です。

新学部で観光学を学んだ学生の主たる就職先は、旅行会社だけではなく、市役所やNPOなども想定しています。地域とともに生きていくデザイナーをつくりたい。これは日本のみならず、アジアでもアフリカでも全世界で必要なことです。

現在、アジア太平洋学部にある環境・開発と観光学を融合して一つの学部にし、これをコアに現在の2学部を3学部に再編します。定員は現在の660人×2学部より、全体で100人以上増やす予定です。

新学部は大学だけで学ぶのではなく、地域で学ぶことを教学のコアにしています。市役所などでの長期のインターンをカリキュラムに組み込んで、単位認定しようと考えています。

教室
グループワークを行う学生たち=APU提供

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