早生まれに負けない子育て

早生まれは高校入試にも影響!? 東大教授が説く「不利のはね返し方」

2020.09.15

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山下 知子
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まず、グラフ1を見てください。これは小学4年生(Grade4)から中学3年生(Grade9)を対象に、算数・数学の得点を縦軸、生まれてからの月数(月齢)を横軸にとったグラフです。同じ学年のなかでは、3月生まれの得点が最も低く、4月生まれや5月生まれが最も高くなっていますが、学年が上がるにつれて、生まれ月による差は小さくなっています。認知能力の一つである学力の差は、成長するに従って次第に縮小していくのです。

グラフ1
グラフ1:小学4年生(Grade4)から中学3年生(Grade9)を対象にした算数・数学の得点(縦軸)と生まれてからの月数(横軸)の関係(グラフはいずれも山口慎太郎ほか「Month-of-Birth Effects on Skills and Skill Formation」より)

次にグラフ2を見てください。これは、「ある目標を達成するために必要な行動を選び、計画通りに成し遂げることができるという自信」を意味する自己効力感をどれぐらい持てているかを、同じく生まれてからの月数で比べたものです。自己効力感のような非認知能力は、思春期においては学年が進むと下がるのが一般的で、このグラフも学年が上がるにつれて右肩下がりになっています。注目すべきなのは、同じ学年内で早生まれと遅生まれを比べると、学年が進んでも両者の差が縮まっていないことです。このグラフからは、認知能力と違って、非認知能力の差は自然には縮まっていかないことが読み取れます。

グラフ2
グラフ2:小学5年生(Grade5)から中学3年生(Grade9)を対象にした自己効力感のスコア(縦軸)と生まれてからの月数(横軸)の関係

――では、どのような子育てをすればいいのでしょう。

親は、数字に表れ、対策のしやすい認知能力の向上に偏って投資をしてしまうケースが多いようです。調査では、中学3年生の早生まれの生徒は遅生まれの生徒に比べ、学校外で週に0.3時間多く勉強していました。読書時間も0.25時間多く、塾に通っている率も3.9%高い、という結果が出ました。

一方、スポーツや外遊びに費やす時間が最大で週に0.52時間少なく、学校外の美術や音楽、スポーツ活動に費やす時間は、最大で0.19時間少ないという結果でした。何が非認知能力を高めるのかはよく分かっていないのですが、芸術やスポーツ活動は非認知能力の向上に関わっていると考えられています。

この結果を見ると、早生まれが不利にならないように、親や周りの人が家での勉強や読書、塾通いを積極的に促していると推測されます。そうなると当然、子ども同士で遊んだり、スポーツをしたりする時間は減るので、これが非認知能力が育ちにくくなっていることに影響している可能性があります。もともと不利な立場にある早生まれの子どもたちは、親が子を思うための「対策」によって、より不利な状況に陥ってしまっているのです。

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