コロナ時代の「留学」

コロナで留学が中止に・・・若者と教員が意見交換 「もっと相談先や交流の機会を」

2020.09.15

author
上野 創
author
斉藤 純江
Main Image

新型コロナウイルスの感染拡大で、留学に影響が出た学生たちの声を聴く催しが今夏、オンラインで開かれました。緊急帰国したり、渡航を中止・延期したりした若者たちからは、無念な気持ちや先への不安が語られました。同時に、気持ちを切り替えようとする言葉や、同じ境遇の同世代との交流を求める声も。催しでのやりとりを紹介します。(写真は、7月の「生徒・学生の未来会議」に参加した学生たちと9月にやりとりする玉川大国際教育センターの高城宏行さん=左上)。

「相談先を」「交流の機会は励みに」 大学側への要望

大学や教員の側への要望については、相談先や情報がほしいという率直な訴えがあがりました。

 「進路について、相談できる相手がいなくて困っている。海外の大学院進学などの選択肢を考え始めているが、その後の就職の仕組みが分からず、むしろ留学はあきらめた方が人生においてプラスなのかと迷う」(大学2年、男性)

「留学が中止となり、東京から地元に戻ってきているが、離島なので周りに同じような状況の人がいない。今日のような交流の機会をもっと増やしてもらえると、励みになり、モチベーションにもつながる」(短大既卒、男性)

「担当の先生は相談にのってくれるが、直接会ったことがなく、Zoomでの相談になってしまっている」(大学2年、男性)

 このほか、英語でのグループディスカッションなど、留学を疑似体験できるような場があると良いという意見もありました。

 班ごとの話し合いでまとめ役を担った男子大学生からは、「モチベーションの課題が大きい。大学1年生のように、留学に興味を持ちだしたものの、コロナで行けないならやめようかとなってしまう人たちをどう引き上げるのか。また、長期留学や海外での活躍を考えている人たちをどうサポートするか」という問いかけもありました。

「国内の外国人をパートナーに」「英語以外の力も広げよう」 教員から提案

名城大外国語学部のアーナンダ・クマーラ教授は「日本国内で何ができるかを考えよう」と呼びかけました。「コロナの感染状況を見つつだが、日本に来ている留学生や外国人とホームビジットなどで連携をはかるのも一つ。皆さん自身の学びになり、国内の外国人が日本人にとってより良いパートナーになる意味もある。大学としてマッチングもできる」と提案しました。

 玉川大国際教育センターの高城宏行・副センター長は、「日本に関心のある海外の若者が、グループを作っているので、ホームページやフェイスブックで連絡をとってみては」と語りかけました。高城さんがオーストラリア人の集まりに、「単発で交流会を持ちませんか」と持ちかけたところ、すぐ返事が来て、オンラインゲームを使って1時間半ほど、日豪の学生が遊び感覚で交流できたそうです。

留学断念2

 桐蔭学園高校の奥山さんは「日本にいる間に語彙(ごい)や文法理解を鍛えれば、文章を読む力があがり、すっと発信もできるようになる。議論の中身をしっかりするためには、自分とは違う国の歴史や文化を知っておくことが必要で、そのためには英語以外のさまざまな教科の学習や経験を通じて、自分のキャパシティーを広げておくことが必要」と助言しました。

 司会も務めた高城さんは終了後、次のように語りました。「留学への関心やモチベーションが失われないよう、学生向けに、十分な情報提供と相談できる態勢、バーチャルな国際交流の機会などが必要だと再認識した。なかには悲観して留学をあきらめるケースも多いはず。引き続き生徒・学生の声に耳を傾けながら、このピンチをチャンスに変え、日本の国際教育を発展させられると信じています」

「自分だけじゃないと分かった」「刺激になった」 参加者の感想

 催し後、参加した学生に感想を聞きました。

 英語教員をめざし、英国に留学予定だった玉川大2年文学部の秋元達也さん(20)は、「同じような意見や感情を持っている人がいて、自分だけじゃないんだなと安心しました。生の声を聞ける機会は少ない。僕も頑張ろうという気になりました」。

2週間のセブ島留学が中止になった桐蔭学園高2年の森永美雅さん(16)は「たくさんの人が行けなくなっているなかで、いろいろ考えていることが分かりました。話の内容も濃く、刺激になりました。自分もやれることをやっていこうと思います」と話していました。

新着記事