コロナ時代の「留学」

オンライン留学でも討論や気づき 友達もつくりリアル渡航へ 明治大学・大六野耕作学長に聞く

2020.09.17

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上野 創
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多くの国で感染が収束しないなか、国際理解教育や交流をどう進めるか――。明治大学の学長就任前から学内の国際化を推進し、日本人留学生を海外へ派遣する環境を整えてきた大六野(だいろくの)耕作学長に、話を聞きました。(写真は、米国の国際教育交流団体「NAFSA」の年次総会に出席したときの大六野氏=2018年5月、米フィラデルフィア、本人提供)

大六野耕作さん

話を聞いた人

大六野耕作さん

明治大学学長

(だいろくの・こうさく)1954年、福岡県生まれ。77年、明治大学法学部卒業。同大学院政治経済学研究科の博士後期課程単位修得退学。専門は比較政治論。政治経済学部長や副学長(国際交流担当)などを歴任。また、デューク大学、ノースイースタン大学、ラオス国立行政学院、ラオス国立大学など、海外でも教鞭をとった。明治大学体育会ラグビー部の部長を長年、務めた。2020年4月、学長就任。

海外の協定校にオンライン授業を打診

――新型コロナウイルスの影響はどうでしたか。

明治大の学生は、毎年、2千人以上が海外へ学びに行きます。「自分も留学を」と思っていた在校生や新入生も多いはず。しかし、2月から4月にかけて、感染拡大で留学は中断や中止となり、夏のサマーセッションへの参加も、秋からの出発も、できなくなりました。

――その後の対応と、秋からの見通しは?

感染が広がったころ、提携している海外の大学にいくつかメッセージを送り、オンラインでの授業を提供してくれないかとお願いをしました。すると、すぐに良い返事をくれたところがありました。先方から、「日本へバーチャルな留学をさせてもらえないか」という依頼もありました。大学として、同じように悩んでいたのです。

そこで、うちの国際担当副学長に、「海外の協定校に、オンライン授業を提供できるか、提供を受けたいか聞いてみてほしい」とお願いしました。

70校に聞いたところ、8月末時点で、アメリカが10校、フランスが3校など、20校ぐらいはオンライン留学を了承してくれました。留学先の大学で授業料がかかる場合、それを助成する本学の制度を活用できます。

このほか、単位の上限はありますが、本学で授業を取りながら、留学先の授業にも参加して、単位を取得できるようにします。各学部の責任者に諮ったところ、ほぼすべての学部で「認めましょう」ということになりました。一部の学部は、これから対応するということになっていますが、学生に対して、オンラインではあるけれども、単位認定や助成の態勢は整えることができつつあります。

また、10月から1カ月、「Global Workshop Online」と題し、オンラインでのグループワークも開始します。週1回、50分、タイ、イタリア、香港、オーストラリアの協定校の学生とつながって、共に課題に取り組む経験ができます。単位にはなりませんが、無料で参加できます。

まずバーチャルで挑戦、自分が変わる体験を

――20校という数や希望者の数をどう見ますか。

聞き取りをした海外の大学は70校で、協定校も新型コロナへの対応を続けているなか、20校も対応してくれたのだから、上出来と思います。私個人につながりのある海外の先生から、オンラインでの授業を提供できるが取らないか、という連絡も来ていますし、秋学期以降、対応してくれる大学は増えていくと思います。

秋から協定校に留学する予定だった学生のうち、当初15人程度が日本にとどまったままオンラインでも留学を始めたいと希望し、まず8人が参加に向けて準備を進めています。状況が改善したら渡航も視野に入れています。

まずはバーチャルで挑戦をし、自分が変わっていく体験をしてほしい。そう願っていますが、急な募集だし、「やっぱり行くなら実留学で」という気持ちも分かる。来年の春以降に期待をかける人もいるから、初めから大勢がオンラインで留学とはならないと思っていました。

ただ、次の年度になれば、初めからオンライン留学もある前提で、留学のことを考えるようになるんじゃないかな。学生もその前提で準備ができますね。

――オンライン留学の導入に期待する点は?

実留学ができないことで、留学そのものをあきらめてしまうことを防ぎたい。

また、(録画されたものではない)リアルタイム配信型の授業では、小グループでのセッションで学生同士が話す機会があり、海外の同世代と自分を比べてみて、必ず気づきがあるでしょう。価値観の違いを感じ、マゴマゴしながらも「何か言いたい」という気持ちも生じる。それが重要です。

そして、いずれ長期で留学してみたいと思うこともあるでしょう。友達もできますから、いろいろなところへ自分でアクセスして情報を集め、チャンスを探そうという気持ちにもなってほしい。「自分で」というのがポイントです。

実留学と異なり、現地の空気を吸うことはできず、経験できることは少なくなりますが、オンラインでも直接会うことはできるし、ディスカッションもできます。

オンラインで「プレ留学」して、実際に現地へ行く前の準備として使うという考え方もありでしょう。この先、学びに行く予定の国や大学に知り合いをつくっておけば、向こうに行ってからの安心も楽しみも増します。

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