コロナでどうなる大学入試

3大予備校幹部が語る 2021年度大学入試はこうなる

2020.09.24

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中村 正史
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新型コロナウイルスによる景気の後退、人の移動の制限は、来年の大学入試にどんな影響を及ぼすのでしょうか。河合塾、駿台予備学校、代々木ゼミナールの3大予備校の幹部に、現時点での2021年度入試の見通しを聞きました。(写真は、最後となった今年の大学入試センター試験の会場に向かう受験生たち=2020年1月、札幌市)

文系から理系にシフト、安全志向が強まる

富沢弘和さん

話を聞いた人

富沢弘和さん

河合塾教育情報部長

(とみざわ・ひろかず)校舎スタッフ、模試作成部門を経て、教育情報部門に携わる。全統模試のデータを基にした大学入試動向分析、進学情報誌「ガイドライン」「栄冠めざして」などの編集を担当。2016年より現職。

高3生の志望は、夏にはほぼ固まっています。普段であれば社会で起きていることが大学入試に反映されるのは、高校1、2年生が受験を迎える頃ですが、今回の新型コロナは来年度入試にもある程度、影響を与えるのは間違いないでしょう。

特に影響が出そうなのは国際系です。なかでも1年から半年の留学を必須にしているところはカリキュラムを変えざるを得ず、大学に入って留学しようと思っていた受験生が敬遠する可能性があります。

例えば、東海大は工学部航空宇宙学科の航空操縦学専攻の募集をやめることを発表しました。パイロット養成を目指し、米国の大学で飛行訓練を受けるカリキュラムが組めなくなったためです。

好景気を背景に、しばらく文系人気が続きましたが、今春の入試では経済、法、国際などの社会科学系を中心に志願者が減りました。この数年の定員厳格化で大学が入学者を絞り、難しくなった影響もあります。文系人気が落ち着いた一方で、理系人気は工学系を中心に安定しています。さらに新型コロナで就職に不安を感じ、文系から理系に志望がシフトするのではないでしょうか。文系は全体的に減少傾向になると思います。

医学部の志願者はこの数年、減少しています。国公立大の医学部医学科の志願者は、2014年度の約1万9900人をピークに6年連続で減少し、20年度には約1万4700人と約5000人減りました。競争倍率も14年度の5.4倍から20年度は4.0倍まで下がっています。

理由の一つは、15~18年度は就職状況がよかったために文系の人気が高い「文高理低」だったこと。二つ目は、医学科は難関のため浪人生が多いのですが、定員増などで入りやすくなり、浪人生が減っているためです。

偏差値70以上の上位層の志望は圧倒的に医学科が多いのは変わりませんが、その割合が下がり、2年ほど前から一部はAI(人工知能)やデータサイエンスなどの情報系に移っています。

21年度は18歳人口が大きく減ります。河合塾の推定では、21年度の大学志願者数は今年度より約3万人減少して約62万人前後となる見込みです。19年度の大学入学者が約63万人なので、それを下回ることになります。

24年度には大学志願者数は60万人を割り込み56万人台まで減ると推定しています。本格的な大学全入時代が来ると言っていい。来年度の入試は大変だと言われていますが、競争が緩和され、ゆるい入試になります。大学側は先に入学者を確保したいので、競争を伴わない入試に変わっていくと思います。

来年度の一般選抜の志願動向は、基本的にどの系統も減るでしょう。安全志向が強まり、一般選抜よりも総合型選抜、学校推薦型選抜でまず入学先を決める受験生が増えると思います。

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