コロナでどうなる大学入試

3大予備校幹部が語る 2021年度大学入試はこうなる

2020.09.24

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中村 正史
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東京の大学をやめて再受験する動きも

佐藤雄太郎さん

話を聞いた人

佐藤雄太郎さん

代々木ゼミナール教育事業推進本部長

(さとう・ゆうたろう)2008年代々木ゼミナールに入職。2010年から教育総合研究所に勤務し、2015年から同研究所所長。2019年11月より現職。全国の高等学校で講演多数。

医療系の志願者は右肩下がりだったので逆に増えるのではないかとか、AIやデータサイエンスが増えるのではとか、経済状況が悪くなると理系人気になるとか予測は立ちますが、秋以降の状況次第で、正直言ってよくわからないというのが実情です。

高校の教員向けの研究会や大学の説明会が少なく、高校の先生は情報がない上に、休校が続いたので、高校は進路指導ができていません。しかも共通テスト初年度ですが、頼りになるのは前年度の資料しかない。ふたを開けてみたら前年度と変わらなかったということもあり得ます。

上位層は授業の遅れは感じていませんが、中位層はやはり気にしています。特に物理や数Ⅲです。理系は難しくなると思われ、文系に流れる可能性があります。

国公立大の中には、福井県立大のように地方試験会場をやめる大学も出てきています。上智大は総合型選抜を増やすと発表しました。新型コロナの影響でそもそも入試ができるのかという不安があり、従来のAO・推薦が多い高校では積極的に出願する動きもあります。

一方、首都圏などの私立大は定員厳格化で難しくなっており、地方の受験生は東京には出てこないでしょう。むしろ地方の国公立大が横ばいか若干増えるのでないかと思います。

国際系は2020年度も減っていますが、コロナの状況によっては海外に行けないので、親がやめた方がいいと言う可能性があります。コロナが1年くらいで収まるとは思っていないでしょう。

医療系は復活するのではないかと思います。一部で医療崩壊や医療従事者への中傷がありましたが、医療系を目指す人は生半可なことでは行けないと覚悟しているはずです。

気になるのは、今春、大学に入学した地方出身の学生が再受験するのではないかということです。地方の高校に卒業生が「調査書が必要です」「調査書はいつごろもらえますか」などと問い合わせているようです。せっかく東京の大学に受かったのに、大学生活を楽しむことができない。それなら仮面浪人したと考えて、大学を受け直す動きも出てくるのではないかと思います。

今年の名古屋大入試では試験監督者らが全員マスクを着用し、教室の出入り口などに消毒液が置かれた=2020年2月
今年の名古屋大入試では試験監督者らが全員マスクを着用し、教室の出入り口などに消毒液が置かれた=2020年2月
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