学習と健康・成長

子どものSOSは3種類、サインに気づくには 心に寄り添う声がけは 専門家に聞く

2020.09.29

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ゆきどっぐ
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「子どもの問題には必ず大きな意味がある」と言う医師・臨床心理士の田中茂樹さん。これまで子どもの不登校や引きこもり、摂食障害、リストカットなど約5000件の保護者の悩みの相談に乗り、解決に向けてアドバイスしてきました。今回は中学受験をするうえでの勉強や習い事への考え方、子どもたちの心に寄り添う言葉かけについてお話を伺います。

Shigeki_Tanaka

話を伺った人

田中茂樹さん

医師・臨床心理士

(たなか・しげき)1965年東京都生まれ。共働きで4児を育てる父親。京都大学医学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程(心理学専攻)修了。2010年3月まで仁愛大学人間学部心理学科教授、同大学附属心理臨床センター主任。現在は、奈良県・佐保川診療所で地域医療に従事する。著書は「子どもを信じること」(さいはて社)、「子どもが幸せになることば」(ダイヤモンド社)「去られるためにそこにいる」(日本評論社)など。

保護者は子どもに指示しない 自宅をリラックスできる空間に

――中学受験などでストレスを抱えている場合に、保護者へのSOSのサインとして、子どもにいろいろな症状が表れることがあるとのこと。それはどのようなものでしょうか?

私は、子どもがSOSを出す方法が3パターンあると考えています。

1.周囲の人に向けるタイプ
親に対して反抗的な態度を示し、時には暴言や暴力をふるう。学校でいじめなどの問題を起こすこともある。

2.自分の体に表れるタイプ
おなかが痛くなったり、熱や蕁麻疹が出たりと、本人の体に症状が出る。

3.内にこもっていくタイプ
内にこもって、気分が落ち込む。時には食欲がなくなり、眠れなくなることも。

人によって症状はさまざまですが、子どもは本来、大人よりもずっとのんきで明るいのが普通です。もしも、そのような状態でないのであれば、すでにストレスを抱えているサインかもしれません。

――なるほど。SOSのサインだと気づかなければ、保護者側でも子どもを叱ったり、なだめたりするでしょうね。

子どもは保護者のことが好きだから、基本的に言うことを聞くと思います。もし聞かなくなっているのであれば、すでに子どもにつらいことやしんどいことが起きている可能性があります。ひょっとすると、つらいことやしんどいことは外部との関わりだけでなく、家族内の関係性で起きているかもしれません。

よくあるのが、保護者が子どもに対して何から何まで指示してしまうケース。保護者が子どもの1日のスケジュールを決め、タイムマネジメントもする。子どもは褒められたいし、保護者の喜ぶ顔が見たいので、そのスケジュールを一生懸命こなそうとするかもしれません。でも、遅れが出てきたりすると、それに伴う不安や焦燥から、保護者への反発が起こるようになります。

――保護者には葛藤が生じますよね。勉強させたい、でも、のびのびもさせたい。

のびのび“させる”という言い方をしているけれど、のびのびは“する”もの。“させる”は、子どもへの指示です。そのような、子どもを思い通りに動かそうとする言葉を気づかない間にたくさん使ってしまっていませんか。一度意識を向けてみましょう。

子どもがSOSを発信している場合、家ではリラックスできる環境を作るのがいいです。そのためには保護者は子どもに指示しないで過ごすこと。“子どもをどう変えるか”ではなく、コントロールしようとする自分を手放して諦めるんです。

――保護者側の考え方を変えるということですか?

そうですね。この部分がすごく大事なところで、保護者に「あなたの態度を変えるのが一番ですよ」と言うと、「じゃあ、子どもが苦しんでいるのは私のせいですか?」となるんです。

そうじゃない。子どもはひょっとすると、塾でいじめにあったり、先生から暴言を吐かれたりしているかもしれない。でも、どんな理由が背景にあったとしても、子どもは家でリラックスして、機嫌のいい保護者のそばで過ごせたら回復するんです。外でつらいことがあっても自分で何とかしようと乗り越えていける。子どもにとっての家族とは、自分を育てていく場所であり、回復させる安全基地なのです。

Shigeki_Tanaka_1

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