学習と健康・成長

子どものSOSは3種類、サインに気づくには 心に寄り添う声がけは 専門家に聞く

2020.09.29

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ゆきどっぐ
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「子どもの問題には必ず大きな意味がある」と言う医師・臨床心理士の田中茂樹さん。これまで子どもの不登校や引きこもり、摂食障害、リストカットなど約5000件の保護者の悩みの相談に乗り、解決に向けてアドバイスしてきました。今回は中学受験をするうえでの勉強や習い事への考え方、子どもたちの心に寄り添う言葉かけについてお話を伺います。

子どもの幸せを願う姿勢を大切に

――自宅が安全な場所だと感じてもらうには、どんな方法がありますか?

例えば、何の理由もない日に子どもの好きなお菓子を買ってくるのもいいですね。そこにテストでいい点を取ったからなどと理由をつけてしまうと、努力するのが保護者のため、もしくはご褒美のためになってしまいます。

保護者はそもそもの原点を見失わないようにしていただきたいですね。例えば、中学受験をするのは、それが子どもの幸せにつながると信じているからでしょう。もしも受験を嫌がって泣き叫んでいる子がいたら、本当に幸せにつながっていくのか、立ち止まって考える時間を持ってほしいです。

本来であれば、子どもが自ら「やりたいこと」を選ぶべきです。歴史が好きだから社会科を一生懸命にやるとか。すると、ちょっと疲れたから休憩しようかなと、自分で調整できるようになります。保護者が監視して強制するのはやめた方がいいと思います。

――塾に通う過程で習い事などを整理するご家庭もあると思いますが、子どもの意思とどの程度折り合いをつけるかが難しいところです。

「習い事を整理する」ことに関しては、まるで子どもにとって仕事を始める準備(就職活動)のようだと、驚いたことがあります。

私がかつてお手伝いしていたサッカーチームでも、小学4~5年生になるとやめていく子がいました。母親に促されて「お世話になりました。来月でやめます」と言ったあとで、振り向いて泣きだした子もいました。本当は三度の飯よりサッカーが好きだったり、友達とワイワイするのが好きだったりする子どもです。

その子の母親につい、「サッカーがあんなに大好きなのに、もったいないですね」と言ってしまったんですけど、「プロになるわけじゃないですから」って返されたんです。でも、それは違うと思いました。仕事にするためにサッカーをしているんじゃないはずだと。

その母親はさらに「中学生になったら、また始めたらいいから」と言いました。でも、その時にしかできないサッカーがあり仲間がいます。ほかのスポーツや習い事も同じだと思いますが、いろんなレベルの子がいて、幼い同士の仲間の中でこそ得られる経験がある。その居場所が子どものこの先の人生にどれだけ大切な意味があるか。親には想像しづらいのだと思います。

――保護者にとっても判断を迷う時ですね。

子どものSOSがわかりやすく表に出てきたら、保護者側も何らかの対処ができるでしょう。しかし、SOSが出ていなかったり、気がつかないまま過ごしたりすると、子どもはずっと保護者の言うとおり生きていくような人生を歩むかもしれません。

私は、保護者が迷った時に子どもが楽になる選択をすることが増えればいいなと思っているんです。子どもが一生懸命になれることをする。その方が、ずっと子どもの幸せにつながる。そんなことを私のような専門家が言っていたと思い出してもらえたらうれしいです。

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