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「板門店って、何屋さん?」 深い読み取りに役立つ背景知識、日々のニュースから

2020.10.07

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関口 修司
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  • リポートの書けない大学生に「背景知識が圧倒的に不足している」と嘆く大学教授。深い読み取りには知識が必要。

  • 「板門店って、何屋さん?」と尋ねる高校生。社会で伸び続ける人間を育てるには、地道に背景知識を蓄えていく日常を。

  • 新聞の見出しだけでも毎日読み続けると、背景知識が蓄積され、それらを操る力、実社会で生きて働く力につながる。

知識を操る力、実社会で生きて働く力に

リポートを書けない大学生、足りないものは?

あるきっかけで、有名私大教授の言葉を思い出しました。「厳しい受験を乗り越えたはずなのに、大学1年の春に指導するのは、まずリポートの書き方から。論理的で説得力のある文章、目的に合わせた文章が書けない。中学卒業までに身につけておくべき文章表現力を大学で教えなくてはなりません」。さらに話は続きます。「やっと書き方を身につけても、書く内容がおぼつかない。改めてリポートを読み直して気付いたのは、背景知識が圧倒的に不足していることでした」。物事の背景となる知識が足りなければ、書くことはもちろん、深い読み取りもできません。全てを知らなくても、ある物事の歴史的、地理的、科学的、数学的視点の一部を知っているだけでも、言葉を使ったり読んだりする深さが大きく異なるはずです。

刻々と変わる社会の動き知り、日常的に知識蓄えて

この話を思い出したのは、毎年、多くの卒業生が難関大に進学する、ある名門高校の社会科の先生が語った、笑い話のような本当の話を聞いたからです。近現代史の朝鮮戦争の授業で、「1953年に板門店(はんもんてん)で休戦協定が調印されました」と伝えたとき、有名私大の政治経済学部志望の生徒から質問が返ってきました。「板門店って、何屋さんですか?」。先生が思わず、「焼き肉屋さん!」と答えると、生徒は「そうなんだ」と納得する様子。先生はあわてて詳しく解説したそうです。「あの子も志望の大学に行くんでしょうね」と語る表情は複雑でした。

そういう生徒が進学するなら、先述した教授が嘆くのもうなずけます。教育は受験を目標とするものではありません。社会に踏み出してからも、伸び続ける人間を育てていくことが目標です。それには、思考力・判断力・表現力などの資質・能力の育成はもちろんですが、地道に背景知識を蓄えていく日常がなくてはなりません。

関口コラム3

そうした背景知識はどのようにして身につけていけばいいのでしょうか。もうお分かりですよね。そこに新聞の一つの役割があります。様々な知識を覚えるだけでなく、日々刻々と変わる社会の動きとその背景を伝える新聞。見出しだけでも、毎日ざっと読み続けるようにしてみてください。少しずつ背景知識が蓄積され、それらを操る力、実社会で生きて働く力につながるはずです。

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