編集長コラム

共通テスト出願開始で入試の季節本番 なのにモヤモヤが消えない理由は……

2020.09.29

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市川 裕一
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大学入試改革の目玉として来年1月に初めて行われる「大学入学共通テスト」の出願が、9月28日にスタートしました。総合型選抜(旧AO入試)の出願も15日から始まっており、学校推薦型選抜(旧推薦入試)も11月1日には出願開始となります。新型コロナウイルスの感染「第3波」が懸念されるなか、入試の季節がいよいよ本番を迎えます。今後の想定外の展開にどう対応できるか、役所も学校も受験生も、周到な準備と何事にもめげない胆力、そして前例にとらわれない柔軟性が試されているように思えます。(写真は、最後となった大学入試センター試験で、零下の冷え込みの中、開場を待つ受験生たち=2020年1月18日、札幌市の北海道大)

受験日程の間違いはすべて高校のせい? 

「灘高に届いた『センター試験 受験案内』にあきれる受験生 先生が気づいたもう一つの『不備』とは……」。9月8日にEduAウェブサイトで配信したこの記事が反響を呼んでいる。関西屈指の進学校に大学入試センター試験から送られてきた段ボール箱に、今年1月で終わったはずの「センター試験」の文字が印刷されていたというトホホな話。だが、灘高の先生が気づいた、より本質的な問題は、受験生が記入する志願票に「第1日程」か「第2日程」かを選ぶ欄がなかったことだ。

新型コロナウイルス感染拡大による休校長期化を受け、文部科学省は6月、校長が学業の遅れを認めた現役生に限って、当初予定の第1日程(1月16~17日)の2週間遅れの第2日程(1月30~31日)を選べるようにした。ただし、どちらを選択するかは出願時に決めなければならず、出願後の変更はできないとされた。つまり、第2日程の出願に関しては、受験生の希望→校長の承認という手順を踏むのが建前だ。

しかし、入試センターが公表しているマニュアルを見ると、高校が志願票を第1日程と第2日程に仕分け、それぞれのいちばん上にどちらの日程かを明示した「志願票総括表」を置くとされている。受験生がどちらの日程を希望したか、校長が受験生の希望を認めたか否かという証拠が志願票には残らないのだ。積み上げた志願票が崩れてばらばらになり、誤った日程の束に入ってしまったら、誰が責任をとるのだろう。

EduAの取材に入試センターは「今年度は学校側が受験日ごとに分けて取りまとめて提出をお願いすることになり、受験生と高校関係者に心配とご迷惑をおかけして大変申し訳ない。出願後に発送する『確認はがき』で受験日を確認いただくことになる」と答えた。一方で、センター試験時代も高3生の卒業見込みの証明を兼ねて学校が束ねて提出していた、また受験日程を選ぶ欄をつくると9月1日からの受験案内の配布に間に合わなかった、とも釈明している。

ここに「前例踏襲」の臭いを感じるのは、私だけだろうか。センター試験の実績を踏まえれば、約50万人が受験するとみられる共通テスト。その受験案内は膨大な部数を印刷して送らなければならないから、一定の準備期間が必要なのは理解できる。しかし、6月の第2日程実施決定から志願票をつくり替えて印刷したのでは、本当に間に合わなかったのだろうか。5月ごろまでは9月入学論が盛り上がり、一時は当時の安倍晋三首相も前向きといわれていた。もっとドラスティックな変化が起きる可能性があったことを考えれば、第2日程の追加に対応するぐらい朝飯前と言ったら酷だろうか。

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