学習と健康・成長

我が子に向いている学習法は? 「子どもの才能 チェックBOOK」野添さんに聞く

2020.10.02

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夏野 かおる
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子どもの得意なことを早い時期に見つけ、伸ばしたいと考える親御さんは少なくないでしょう。しかし、子どもにどんな才能があるのかを見つけるのは簡単ではありません。そうした悩みに一つの回答を与えたのが、「子どもの才能チェックBOOK」(小学館)です。本書では、学習面における子どもの得意・不得意と、それぞれに合った学習法の見つけ方を伝えています。今回は、本書の出版された経緯や学習面における子どもの才能の見つけ方、伸ばし方について、著者の野添絹子さんに聞きます。

Kinuko_Nozoe

話を聞いた人

野添絹子さん

アミクス発達支援プログラム教室代表

(のぞえ・きぬこ) 1965年、東京都生まれ。学習院大学卒業。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。江戸川女子学園中学校・高等学校、駒場東邦中学校・高等学校で教鞭を執る。現在はアミクス発達支援プログラム教室代表、相模女子大学、国立看護大学校、国立病院機構、放送大学非常勤講師。一人の息子を持つ母親、かつ、研究者の視点からさまざまな子どもの発達や学びに関する研究を行っている。

MI・LSは「子どもの個性をすくいとる網目」

――「子どもの才能チェックBOOK」(以下、「チェックBOOK」)は2013年に出版されました。そもそも、どのような保護者に向けた本だったのでしょうか?

ありとあらゆる保護者です。勉強が得意なお子さんから能力に凹凸のあるお子さんまで、とりあえず一冊読めば子どもの特性(才能)が把握できる本として書きました。

というのも、当時の育児書コーナーでは「保護者が必要にかられて読む本」ばかり置かれているように感じたからです。中学受験に特化した本や発達障害に関する本が多く、一見「普通」に見えるお子さんについての本はほとんどありませんでした。

しかし、「普通」に見えるお子さんにも苦手なことはあるのに、「努力しなさい」という言葉だけで片づけられてしまっている。そんな背景からあらゆるお子さんの得意や苦手が把握できる本が必要だと感じ、子どもの特性を理解できる「チェックBOOK」を出版しました。

チェックBOOK_1

――「チェックBOOK」ではMI(Multiple Inteligences=多重知能)とLS(Learning Style=学習スタイル)の理論を組み合わせて子どもの特性を把握します。それぞれについて教えてください。

MIは、1980年代にハワード・ガードナーというハーバード大学の教授が提唱した理論です。人間の能力は8つの知能から構成されており、それぞれの個性に適した学習アプローチを行うことで、才能がより開花しやすくなる、というものです。

当時の教育学では、「知能」を表す指標としてIQが用いられていました。しかし、IQではひとつの指標でしか子どもの能力を見ることができません。MIは、IQよりも仔細にそれぞれの個性を見るための枠組みとして注目されたのです。

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ただし、MIも万能ではありません。そもそもの認知機能が弱ければ学習がうまくいかず、MIが開花しにくいという問題があったのです。そこで私自身が、人間の認知機能のうち学習に深く関わるものを選び出し、整理したのがLSです。

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MIが「才能」に近いものとすれば、LSは「全人的に求められる能力」と言えるでしょう。

世の中には、数学や論理思考が得意な「論理数学的知能」、音楽表現や鑑賞力がある「音楽的知能」とさまざまなMIを持っている人がいます。でも、習ったことを覚えておく「長期記憶」や、計画を立てて実行する「実行機能(遂行機能)」などのLSが充分に発達していなければ、どんなMIも生かしづらくなります。

つまり、バランスのよいLSの働きがあるからこそ、MIが”社会で生かせる才能”になるのです。

もちろん、人間の脳には解明されていない部分も多くあり、MI・LSともに「本当にこの分類は妥当なのか」と疑問に思われるところがあるかもしれません。事実、MIとLSで重複している部分もいくつかあります。

学術的な厳密性には議論の余地があるかもしれませんが、あくまでお子さんの個性を把握するための手立てとして生かしていただければと思います。

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