学習と健康・成長
受験の日が月経と重なったら、どうする? 「コントロールできるので、早めに医師に相談を」
2020.10.13

寒さを感じる日が増え、受験シーズンが近づいてきました。女子受験生にとって気になるのが、「試験日と生理(月経)がかぶらないか」。健康情報サービス「ルナルナ」の2015年の調査によると、約4割の女性が、受験と月経が重なったり重なりそうになったりしたことがあり、多くが不安を抱えながら受験に挑んでいました。専門家は「月経はピルなどでコントロールできる時代。心配な受験生は、冬になる前に産婦人科医に相談してほしい」と言います。何歳から使えるのか、内診台は必須なのか――。思春期保健相談士や医師に話を聞きました。
「受験日に生理痛」「ストレスで月に3回生理に」 SNSに嘆きの声続々
「第一志望の高校受験、模試的には受かるはずだったんだけど試験当日ひどい生理痛で全然ダメだった。もちろん不合格」「高校3年のとき。大学受験のストレスからか、月に3回生理がきた。(中略)当時の私にピルを勧めたい」。9月初旬、SNS上で「#これからの生理の話をしよう」のハッシュタグのもと、多くの女性が月経についての思いを発信しました。
元公立高校養護教諭で、思春期保健相談士のにじいろさん(38)は「保健室には生理痛で来る生徒が毎日何人もいた。(中略)受験で本領発揮できず悔し涙を流す生徒も毎年見てきた」と書きました。センター試験や国公立大2次試験の翌日は、毎年のように「悔しい」「もうちょっとできたのに」と涙ながらに訴える生徒がいたそうです。「進学校だったので、受験対策としての保健指導ができたらよかった。コントロールできることを知っていれば、受験勉強している間も気が楽になったはず。当時できなかったことを、本当に悔しく思っています」と言います。

痛みは我慢するもの? 周囲の大人がまず理解を
にじいろさんはいま、学校などで性教育を行っています。そこで感じるのは、月経をコントロールできることへの知識のなさと偏見。「子どもだけではなく、親や教員の中にも『痛みは我慢するもの』という意識があり、我慢できないのは『甘え』という認識があります」とにじいろさん。ピルについては、避妊薬として日本に入ってきた経緯などから、避妊用のイメージだけを持っていたり、断片的な副作用の知識で過度に恐れていたりする大人も多いそうです。中学校で話をするときは、学校側から「ピルについては触れないでください」と言われることもありました。
月経には個人差があります。ほとんど痛みを感じない人もいれば、激しい痛みで気を失い、救急搬送される生徒もいます。にじいろさんは「今も、ピルなどを使っている生徒は圧倒的に少数派。多くが『我慢』している現状です」と言います。ピルは日本では医療機関で処方されます。「保護者の理解がないと医療機関にたどり着けません。不安なく試験日を迎え、今までの努力が最大限に発揮されるよう、周囲の大人がまずは理解者になってほしいですね」