新しい教育のカタチを考える

高校生らの「科学オリンピック」にもコロナの影響 オンラインで代替開催も

2020.10.13

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藤田明人
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2020年に東京で予定されていたオリンピック・パラリンピックと同様に、高校生らが世界に挑む「科学オリンピック」の世界も、新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。大会の中止や延期が相次いだ一方、オンラインに切り替えて実施され、日本代表が成果を挙げた大会もありました。(写真は、オンラインで開かれた「国際生物学オリンピック」に臨んだ4人の日本代表)

理数系に自信のある日本の高校生が、世界の舞台で競う主な方法は、大きく分けて二つある。

一つは、テーマを問わずグループまたは個人で自由研究に取り組み、自由研究コンテストである「JSEC」か「日本学生科学賞」のどちらかで上位入賞し、「ISEF」という国際大会を目指す道だ。ISEFは総額5億円の賞金・奨学金が贈られる大規模なコンテストで、日本からは毎年十数組が出場できる。

もう一つは、個人で科学オリンピックを目指す方法だ。「国際数学オリンピック」「国際化学オリンピック」「国際生物学オリンピック」「国際物理オリンピック」「国際情報オリンピック」「国際地学オリンピック」「国際地理オリンピック」の7種類がある。レベルの高い試験問題や課題が出題され、各国で選抜された才能ある生徒が点数を競う。おおむね成績上位約1割に金メダル、続く約2割に銀メダル、続く約3割に銅メダルが贈られる。

日本から出場する人数枠は、各大会とも4~6人。それぞれ、対応する国内大会を勝ち抜く必要がある。近年は挑戦者が増え、狭き門になっている。例えば、今年の「国際数学オリンピック」につながる「日本数学オリンピック」には、全国から5045人が応募。5年前の3508人から44%も増えた。

例年、1月の予選を通過し、2月の本選に進むのは上位約200人。さらに、本選の上位約20人だけが3月にある7日間の合宿で競い、ようやく日本代表6人が決まる。

数学オリンピックを目指す高校生の青春を描く漫画に、「数学ゴールデン」という作品がある。ストーリーは熱血スポーツ漫画のそれに近い。甲子園での野球や花園でのラグビーと同様、試験や合宿の会場を舞台に、真っ向勝負が繰り広げられているのだ。

オンライン開催の数学、化学、プログラミングで日本がメダル

しかし、今年は各大会とも、新型コロナウイルスの感染拡大によって、大きな影響を受けることになった。

8月にロシアで開く予定だった「国際地学オリンピック」は中止に。同月にトルコで予定されていた「国際地理オリンピック」は1年順延された。対応する国内大会は途中まで進んでいたが、日本代表の選抜をとりやめた。

7月にリトアニアで開く予定だった「国際物理オリンピック」は、日本代表の5人が決まっていたが、やはり1年順延に。5人の海外派遣は残念ながらなくなったが、代替としてオンラインで開かれた「ヨーロッパ物理オリンピック」という大会に挑戦。金メダル2、銀メダル2、銅メダル1を獲得した。

「国際数学オリンピック」「国際化学オリンピック」「国際生物学オリンピック」「国際情報オリンピック」は、オンライン開催に切り替わった。各国の代表は、国内の1カ所に集まって試験を受けたり、それも難しい場合は、それぞれの自宅や学校で受けたりした。

7月にロシアで予定されていた「国際数学オリンピック」は、9月に延期されオンライン開催に。105カ国・地域から616人が出場し、6問の難問に挑んだ。問題6は、ソーシャルディスタンスに着想を得た幾何の問題だったという(問題は、数学オリンピック財団のウェブサイトで公開されている)。

日本代表の6人は銀メダル5、銅メダル1を獲得した。広島大付属高3年の渡辺直希さんは、3年連続で出場。一昨年、昨年の銅メダルに続き、今年は銀メダルに輝き、高校在学中に三つのメダルを獲得する快挙を成し遂げた。

4人の日本代表が臨んだ「国際化学オリンピック」は、本来7月にトルコで開催予定だった。代表の1人、南山高等・中学校女子部(愛知)2年の林璃菜子さんは、「オンライン開催に切り替わって、最初はとてもがっかりした」と振り返る。それでも、他の代表と連絡をとりあったり、代表経験者の先輩にオンライン会議システムで指導を受けたりして、7月25日に東京で受けた試験にはリラックスして臨めたという。

60 カ国・地域から 235 人が参加した大会の表彰式はライブ映像配信で行われ、林さんら4人全員が銀メダルに輝いた。林さんは「1年間準備した成果を出せてうれしかった。お世話になった方々に感謝したい」と話す。

プログラミング能力を競う「国際情報オリンピック」は、7月にシンガポールで開催予定のところ、9月にオンラインで行われ、87カ国・地域から343人が2日間の競技に挑んだ。国内大会「日本情報オリンピック」を勝ち抜いた4人の代表が挑み、麻布高(東京)2年の松尾凜太朗さんと、筑波大付属駒場高(同)3年の米田優峻さんが金メダルを獲得するなど、金メダル2、銀メダル2の優れた成績をおさめた。

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