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小中学生の起業、保護者はどうサポート? 勉強との両立は? 経験者に聞く

2020.10.15

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夏野 かおる
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芸能やスポーツなどの活動はもちろん、小中学生の間から起業やWeb開発などを行い、夢に向かう子どもたちを見かけるようになりました。近い将来、我が子が早い時期から事業を立ち上げるなんて可能性も。しかし、いざそのような状況になった時、保護者としてどうサポートすればいいのか、夢(仕事)と勉強の両立は可能なのかなど不安もあるでしょう。今回は、小中学生のうちから起業家やクリエイターとして活躍してきた子どもたちに話を伺います。

12歳で会社設立、カギは専門家との出会い

幼い頃から「よくしゃべる子」と言われ、自分のアイデアを人に話すのが大好きだったという米山維斗(よねやま・ゆいと)さん。9歳の時に化学カードゲーム「ケミストリークエスト(以下、ケミクエ)」を考案し、商品化のため、国内最年少となる12歳(小学6年生)で株式会社を立ち上げました。

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2011年に出版された「ケミストリークエスト 初級版」(幻冬舎より画像提供)

「ケミクエ」は化学結合をモチーフとした対戦型ゲーム。小さな子でも楽しく科学に触れられる商品として累計12万セット以上を売り上げています。

商品化をめざすきっかけは、科学イベント「東京国際科学フェスティバル(TISF)」へ家族で出展したことでした。来場した科学者や小学生がケミクエを絶賛。その反応を見て「このゲームを世界に広めたい」と感じたそう。

「子どもが『ケミクエは面白い!』と感じている事実。そして、科学に詳しい方から評価していただけた実績。この両方がそろったことで、アイデアに自信を持てました」

どうすれば世界中でケミクエを楽しんでもらえるか。父親の友人から紹介を受け、ある会社経営者に相談したところ、「起業」という手段を知りました。そこから米山さんは、さまざまな企業からの出資と祖父母からの援助を受けて150万円の資金をつくり、ケミストリー・クエスト社を設立。最初は自社で出版していたケミクエでしたが、あまりの売れ行きに事務処理がパンク。その後、幻冬舎エデュケーションとともに出版に取り組むことになります。

新たな出版にあたっては、原案者として企画会議に出向き、ゲームのルールをテキストに書き起こしたり、いくつかの案からデザインを選んだりと検討を重ねたそう。原案以外を出版社に任せるという“楽な道”を選ばなかったのは、「できる限り、もとの『ケミクエ』のままで商品化をしたい」と思ったからです。

「商品化に向けて『子どもらしいデザイン・内容にしたほうがよいのでは』などの提案もありました。それに対し、まさに子どもである僕が『子ども向けにしたくない』という理由でNoを出しましたね」

その後、米山さんは「ケミクエ」商品化に合わせて「ケミストリー・クエスト株式会社」を設立。法律上、代表取締役には15歳以上による「印鑑登録」が必要だったため、父を代表取締役、自身を取締役社長、母と祖父を取締役とする「親子起業」の形を取りました。

「会社設立の手続きや商品権利の管理などは無知でしたから、父が補ってくれました。父は企画会議にも毎回同席してくれたので心強く、出版社の方々に囲まれていても落ち着いて話すことができました」

実は米山さんが「ケミクエ」商品化に取り組んでいた時期は、中学受験まっただ中。そんな中でも米山さんは勉強とビジネスを両立し、筑波大学附属駒場中学校に合格。現在は東京大学に通っています。

「もともと勉強が得意で、小3の頃には特待生として入塾しました。成績が安定していて、常に志望校の合格圏内をキープしていたため、焦りはありませんでした。とはいえ、商品化の準備にかかりきりだった時期にはさすがに成績が下がった記憶があります。もしかすると、両親は不安だったかもしれません。最低限のこととして『宿題しなさい』とは言われましたが、商品化の話をやめさせられるなど強制的に生活サイクルを変えられることはありませんでした」

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