学習と健康・成長

私立中に進学したが登校できない……神奈川県私立中学高校協会が作った不登校対応センターの狙いは

2020.10.16

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山下 知子
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私立中学・高校に進学後、不登校になった生徒の居場所となる「神奈川私学修学支援センター」が6月、横浜市にできました。心と体の健康を取り戻してもらいながら、それぞれの学校の進度に合わせて個別に学習支援を行います。今年度は中学生が対象で、来年度からは高校生も受け入れる予定。同様の仕組みは、京都府や福岡県でも始まっています。センター長をつとめる、安宅克己・聖光学院中学高校教頭(65)に狙いを聞きました。(写真は神奈川私学修学支援センターが入る県私学会館=横浜市神奈川区)

安宅克己さん

話を聞いた人

安宅克己さん

聖光学院中学高校教頭

(あたか・かつみ)国語科教諭として、40年近くにわたり横浜市中区にある聖光学院の教壇に立つ。

まずは心と体の健康を取り戻して 1対1で学習支援も

――センターでは、登校できなくなった生徒にどのように向き合っているのでしょう。

センターは、神奈川県内の私立中高82校でつくる「県私立中学高等学校協会」(理事長=工藤誠一・聖光学院中学高校長)が運営しています。協会が所有する県私学会館(横浜市神奈川区)の3階にあります。今年度は中学生のみが対象で、来年度から高校生の受け入れも始めます。

今のところ、生徒は平日午前を中心に通ってます。午前9時半から教科の勉強を行い、水曜午後には、美術や音楽などに取り組む「アクティビティー」の時間も設けました。もちろん、すぐに時間割通りに学べる生徒はいません。まずは心と体の健康を取り戻してもらうこと。相談室も設け、週1日は臨床心理士に来てもらっています。一人ひとりのペースに合わせてセンターを使ってもらえればと思っています。

神奈川私学修学支援センターの時間割
神奈川私学修学支援センターの時間割

教科は校長経験者らが教えます。集団ではなく1対1。私学は学校によって進度も使っている教科書も違うので、集団指導はなじみません。生徒が在籍する学校と連携し、学習内容を個別に組み立てていきます。学校に戻ったとき、勉強についていけないのはしんどいものがあります。しんどさを少しでも減らすために、手伝いたいというスタンスです。

コロナ禍でこれまでできませんでしたが、10月からは県内の大学の学生らも手伝ってくれています。元校長となると、生徒との世代間格差は小さくありません。 お兄さん、お姉さん的な存在として関わってもらう狙いもあります。

――どういった思いで開設したのですか。

理事長が数年来、考えていました。受験を頑張り、選んで今の学校に来てくれた生徒たち。選んでもらった側として、その子が通い続けたいと思っているのであれば、支援したいし、卒業証書を渡したいんですよね。若かりし頃、私が担任したクラスで不登校状態の生徒がいました。卒業できたときは感無量でした。

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