学習と健康・成長

習い事としての将棋 「小さな挫折」から得られる学びとは 中倉彰子・女流二段に聞く

2020.10.27

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藤田 華子
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藤井聡太二冠の活躍などをきっかけに、盛り上がりを見せている将棋。最初に盤と駒を用意すれば生涯かけて楽しめる将棋は、近年子どもの習い事としても注目を浴びています。今回は習い事としての将棋の魅力やはじめ方などについて、将棋と教育とを紐付けた事業を行う株式会社いつつ代表取締役である中倉彰子さんに聞きました。

Akiko_Nakakura

話を聞いた人

中倉彰子さん

株式会社いつつ代表取締役

(なかくら・あきこ)1977年東京都生まれ。女流二段。6歳から将棋を始め、1991、92年の女流アマ名人で連続優勝。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。将棋番組の司会や聞き手、イベント司会を務めるなどメディアでも幅広く活躍。15年に現役引退後、株式会社いつつを設立。将棋をはじめとする日本伝統文化の魅力を、世界中の子どもたちに向けて普及している。

伝統文化に触れ、親しみながら覚える

――大人にとっても、難しいイメージの将棋。お子さんに教える際、心がけていることはありますか?

私たちは、お子さんにはまず駒に親しんでもらうことから始めています。駒を積み木のようにして遊ぶ「やまくずし」や、2つの駒で王様を捕まえる「王様おにごっこ」で遊んでいると、いつの間にかルールを覚えてしまうんです。「飛車」「龍」といった難しい漢字も図として認識するので、未就学の子も楽しんでいますよ。暗記的な部分は、大人よりむしろお子さんのほうが覚えるのは早いかもしれません。

――ルールが身についたら、次はどんなことを教えるんですか?

将棋が難しくなるのは、基本的なルールを覚えた後、“将棋らしく”なるところからです。王様を捕まえたほうが勝つゲームですが、対局には序盤・中盤・終盤の流れがあります。序盤は戦いの準備、中盤は戦いの幕開け、そして、終盤は相手より早く王様を捕まえなくてはいけないスピード勝負。なので、ルールを覚えた後は駒をうまく使う“手筋”などの知識を教え、それぞれの場面や目的に合った意味のある手を指せるよう土台を作ります。

――知識が土台になるということですが、ふだん将棋教室ではどのようなことを行っていますか?

お教室が始まると、最初に“詰将棋”に取り組みます。詰将棋は将棋のルールを用いたパズルで、終盤力を磨くための練習問題。ファイルにプリントを入れて、合格したら判子を押していきます。

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いつつの将棋教室で用いている詰将棋ファイル

次に大盤解説で、大きな将棋盤と駒を使い、戦うためのテクニックを教えます。そして最後に、お子さん同士で将棋を指す実戦や、講師との指導対局です。ここが一番盛り上がりますね。

――イベントに参加されるお子さんや保護者からは、どのような反響がありますか?

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いつつが主催する親子向けイベントの様子

いつつのイベントは初心者向けで、最初に駒の説明をし、その後に「将棋パズル」というもので駒の動かし方を覚えながらパズルを解いていくんです。親御さんは、「すごく熱心にやっている」「うちの子ってこんなに何かに集中できるんだ」と驚かれていることもありますね。

あとは、タイトル戦で使われた将棋盤と駒に触れてもらう企画もあります。職人さんが作られた貴重で高級な盤と駒を使い、実際のプロの対局と同じように駒を並べていくデモンストレーションを見せるんです。ピリッとした空気が伝わるのかシーンと静かになって、なかには正座し始める子もいるんですよ。伝統文化って敷居が高く感じますが、自然とそういうものに触れられるのも将棋の魅力です。

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