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親子スクラップで知識や語彙力アップ 樺山敏郎・大妻女子大准教授に聞く学習効果

2020.11.11

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山下 茂
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時事ニュースの知識を問う入試問題が増えています。広範なテーマへの理解を深めるには、「親子スクラップ」という方法が効果的です。大人向けの一般紙と子ども向け新聞を親子で読み、それぞれの記事をスクラップして感想などを書き込みます。小学校の国語教育が専門の樺山敏郎・大妻女子大家政学部児童学科准教授に、親子スクラップの学習効果を聞きました。

親子スクラップ・樺山敏郎さん

話を聞いた人

樺山敏郎さん

大妻女子大家政学部児童学科准教授

(かばやま・としろう)専門は国語科教育。公立小学校教諭、教頭、教育委員会指導主事を経て、2006年4月から文部科学省国立教育政策研究所学力調査官兼教育課程調査官として小学校国語を担当。15年4月から現職。

「読んでおきなさい」ではなく、「一緒に読む」が効果的

難度の異なる二つの文章を読むことを「重ね読み」と言います。重ね読みをすると理解が深まり、もっと知りたいという好奇心がわきます。子どもが興味を持った子ども向け新聞の記事をスクラップし、その横に一般紙の記事も貼り付ければ、子どもは両方の記事を見て知識を深めることができます。子ども向け新聞の記事にはなかった新たな言葉に出合う効果も期待できます。

 海外の研究では、1日25分、年に200日の読書をする学童期の子どもは、1年間で1万5000~3万語の新たな言葉に出合います。そのうち15%は、文脈から判断して自然に意味を覚えているそうです。活字を読む習慣がある子どもは、だれにも教わらなくても年間2250~4500語を獲得できるのです。同じように、新聞を読めば1日10個ぐらいの「言葉のプレゼント」を受け取れるので、語彙(ごい)力や読解力を高めることができるでしょう。

 大切なことは、子どもに新聞を与えて「読んでおきなさい」と言うだけではなく、親も一緒に読む姿を見せることです。それぞれの新聞で同じできごとを報じた記事を読み、会話するきっかけ、関係性を深める道具として使ってください。「どうしてこうなったのかな」「お父さん(お母さん)に調べて教えて」と問いかけ、分からなかったことや疑問に感じたことは、辞典や地図、ネットなどで調べて、自分の考えとあわせて、貼った記事の横に書くように促しましょう。

親子スクラップ解説
樺山准教授が作成した「親子で新聞を読む効果」を示す図。親子で一緒に考えることが探究行動につながり、より良い結果を生み出す。その過程で語彙力や読解力、読書力が培われるという。

 たとえば、北海道の大規模風力発電計画について報じた記事を読んだときは、親が「風車の大きな羽根に野鳥が衝突するかもしれないね」と言ってみる。そうすると、子どもは「風力発電の利点」と「野鳥の被害」を比べて考えます。日々の紙面、記事でこうしたやり取りを重ねれば、子どもはものごとを多面的に見ることができるようになり、自分なりの考えを広げたり深めたりできるようになるでしょう。

 感想を言い合うときには、親の考えが唯一の解ではないという立場を崩さないようにすることも大切です。子どもの意見のほうが本質を突いていることもあります。1日10分でもいいですし、週末だけでもいいので、親子スクラップに取り組んでみてください。

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