キャンパスリポート

対面授業9割を実現した京都の大学 活動再開を恐れない理由

2020.11.02

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中村 正史
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大学の後期授業(秋学期)が始まっても、新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して、対面授業を再開できない大学が少なくありません。文部科学省の8~9月の調査では、後期授業が「全面的な対面」は2割にとどまり、特に都市部の大規模大学ではオンライン授業が主体になっています。そんななか、対面授業9割を実現している学生数5000人規模の大学が京都市にあります。(写真は、対面授業が始まった教室の様子。学生は間隔を空けて指定席に座り、消毒セットが置かれ、教員はフェースシールドをしている=京都橘大学提供)

6月から対面授業を一部再開

大学は中学・高校と違って、学生数の多い大規模大学が都市部に集中し、学生は通学などの移動距離が長く、学外の活動や周辺に出かけることもある。一方、前期に導入したオンライン授業に一定の教育効果があることがわかり、オンライン授業の継続を望む学生がいることから、都市部の大学を中心に、後期もオンライン授業を主体に行い、対面授業はゼミなどに限定しているところが目立つ。

対面授業9割を実現しているのは、京都橘大学(京都市山科区)。文学部、現代ビジネス学部、看護学部など6学部からなる総合大学だ。来年春には、学部を改組して3学部を新設し、学生数は現在の約4800人から約6500人に増える。

9月21日から始まった後期授業は、開講科目のクラス数1375のうち1203が対面授業で、87.5%にのぼる。教室で学生間の間隔をできるだけ2メートル(最低でも1メートル以上)空けるなどの措置を取った結果、250人が入る大教室で「3密」を避けられる収容人数は最大80人であると判断し、80人以下の授業は原則、対面授業とした。

対面授業の教室は座席指定になっており、学生間の間隔を空けて席が決められ、ホームページで確認する。最大80人にすると、大学構内にいる学生が一番多い時で全学生の70~80%に限られるというシミュレーションも行った。

日比野英子学長はこう話す。

「うちの大学は女子大学でスタートした建学時から、伝統的に少人数のクラスで指導し、教員と学生の距離が近かったのです。学生25人以下の授業が半数、50人以下だと8割にのぼります。医療系や教育系を増やしてきましたが、それらは人を相手にするので、対面でないと伝えきれません。一方で新型コロナの感染防止の観点から、80人超の授業はオンラインとする対応を取ったところ、結果的に対面授業が9割になりました。6月から一部で対面授業を再開し、どうしたら感染を防げるか取り組み、これなら学内で感染を起こさせないという手応えをつかんでいました」

同大学の対面授業再開への対応は早かった。4月下旬に、前期はすべてオンライン授業とする方針を出したが、学生への奨学金や食支援などを実施すると同時に、対面授業の開始を模索し、6月8日から一部再開した。6月16日には、後期授業について、80人以下は対面を目指す開講方針を決定した。

「学生のために本当に必要なことを私たち自身で考え、模索してきました。コロナ禍の学生や家庭の姿を目の当たりにし、政府や他大学の方針にならうのみではいけない、学生の状況により独自の施策をつくる必要がある、また教育を止めてはいけないという思いが大きくなりました」(足立好弘・法人事務局長)

学生からは他大学と同様に、学費減免を求める約800人の署名が5月に出された。日比野学長は署名活動の代表者と話したうえで、学生自治会を通して全学生に説明したいと申し入れ、6月下旬、3時間に及ぶ説明会の場で、学費の考え方や学生支援策を説明し、大学側の考えを理解してもらった。

【文中写真】京都橘大学キャンパス
京都橘大学は、京都・山科の丘の上に立つ=同大学提供

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