わが子の受験適齢期

小6の夏休み明け、子どもが「なぜか突然、中学受験。」 漫画家・細川貂々さんインタビュー

2020.11.06

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鬼頭佳代
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中学受験といえば、「何年も塾に通って、親子で万全の準備をして取り組むもの」というイメージがあります。しかし、漫画家・細川貂々さんの息子・ちーと君が「中学受験をする」と決めたのは、なんと小学6年生の2学期。模試の成績は偏差値28、合格率0%からのスタートでした。受験までの4カ月をまとめた「なぜか突然、中学受験。」(創元社)を出版した細川貂々さんに、親子三人四脚で乗り切った受験生活について聞きます。(マンガは「なぜか突然、中学受験。」[細川貂々/創元社]より)

細川貂々プロフィル

話を聞いた人

細川貂々さん

漫画家・イラストレーター

1969年生まれ。漫画家・イラストレーター。宝塚市大使。1996年、集英社「ぶ~けDX」にてデビュー。パートナーとの闘病生活を題材にしたコミックエッセイ「ツレがうつになりまして。」「イグアナの嫁」シリーズ(幻冬舎)は映画化、ドラマ化。男親中心の育児を描いた「ツレパパ」シリーズやPTA経験をまとめた「アタックPTA」(朝日新聞出版)など、家族に関する著作も多数。

受験の決め手は「組体操が嫌だから」 右も左も分からないまま始まった受験生活

 ――もともと中学受験について、どんなイメージを持っていましたか?

 子どものころ、私学に行く子が周りにいなかったので、実を言うと、中学受験の存在すらよく知らなかったんです。

 ただ5年ほど前、「息子の将来、だいじょうぶ? 教育オンチが考える」(平凡社)を描くために、灘校の先生とお話する機会があり、「すごい! こんな学校だったら息子も通わせたい」と思ったんです。でも、気持ちだけじゃ入学できないんだとも分かって。その時から、「公立の中学校以外に進学する選択肢」が自分の中に生まれました。

 けれど、うちの息子は「勉強が嫌い」と言っているし、宿題もつらくて唸りながらやっていたくらいなので、すごく迷いましたね。そうこうするうちに小学4年生になり、受験塾に通い始める子も出てきて。それで本人に「受験する?」って一応聞いてみたんです。そうしたら、「勉強嫌いだからしない」と。

 5年生や6年生になったとき、塾の夏期講習にギリギリ間に合う6年生の夏休み前にも一応聞いたんですが、「受験しない」と言う。だから、私は公立の中学校に進学する気で、「またPTAの副会長でもやろうかな」なんて考えていました。

 ――その後、小6の運動会で変化が訪れますよね。

 もともと運動会は嫌いだったのですが、5年生まではなんとかしてきたんです。ところが、6年生の組体操は「命の危険を感じる、無理!」とすごく抵抗して……。

 でも、公立の中学に進んだら、また組体操をしないといけない。そのことを知ると、「だったら、中学受験したい」と言って。「え! このタイミング!?」と、めちゃくちゃビックリしましたね。

受験する

それで、小学4年生から受験塾に通わせているママ友に相談したら、まずは学校見学を勧められて。その週末に、たまたま気になっていた学校の学園祭があったので、行ってみることにしました。そうしたら息子も、「ここに入りたい」と言って、受験を決めたという流れです。

 当時はまだ、息子本人も受験がどんなものなのか全くイメージできていなかったと思います。

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