東大生と起業

第7回◆コンサル会社を経て起業 「日本の産業の変化は遅すぎる」

2020.11.10

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中村 正史
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大学発スタートアップに優秀な人が来れば日本が変わる

キャンパス内にインキュベーション施設ができ、ベンチャーキャピタルが設立されるなど、「スタートアップエコシステム」と呼ばれる仕組みが整備されたことも大きい。

「資金集めも昔は1億円調達したら大ニュースになっていましたが、今は10億円以上集めるスタートアップもたくさん出ています。スタートアップをやり遂げた卒業生が、次に事業を始める人の支援に回って投資したり、学生が書いたプランのメンターになったりする循環が生まれています。学内だけでなく、キャンパス周辺がスタートアップの集積地になっていて、本郷の周りで何か面白いことができそうな気配になっています」

大企業に対する東大生の見方も変わったという。

「上場企業や大きな会社に入っても、安定しているわけではないなら、一度しかない人生を挑戦的なことをして過ごしたいと考える学生が増えてきていると感じます。大学に入学する時点から、将来の起業を考えている人が一定数おり、相当な変化です。大学による支援態勢が整ってきたり、資金調達が容易になってきたりしたことで、起業のハードルが下がりました」

さまざまな起業例を見てきて、成功するケースと失敗するケースの典型があるのだろうか。

「結局は人の問題であると感じます。大学発スタートアップが成功するには、技術面だけに限らず、ビジネス面も含めた優秀な人が集まってチームを組むこと、また、そのチームで粘り強く馬力を持って取り組むことが大事です。日本では大学の周りに、ビジネス経験がある人がまだまだ少ない。世の中を大きく変えうるアイデアを持った大学発スタートアップに、もっと優秀な人が来るようになれば、日本も変わっていくでしょう」

(終わり)

本郷キャンパスの産学連携プラザ横に2007年に開設されたインキュベーション施設のアントレプレナープラザ。東大と関係の深いベンチャー企業が入居するが、満室状態が続き、18年にアントレプレナーラボを新たに開設した
本郷キャンパスの産学連携プラザ横に2007年に開設されたインキュベーション施設のアントレプレナープラザ。東大と関係の深いベンチャー企業が入居するが、満室状態が続き、18年にアントレプレナーラボを新たに開設した

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