エデュアお悩み相談室

海外の学校で育った子 「みんなで一緒」に違和感 親としてできる言葉がけは…

2020.11.11

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善本久子
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  • 「違いであって善しあしではない」と思えたら楽に
  • 国際理解教育として扱うことを先生に提案してもいい
  • 日本の中にもいろいろなやり方や考え方はある

《質問者》
家族で米国やタイに住み、中学生と小学生の子どもはインターナショナルスクールに通っていました。3年前に帰国し、良くも悪くも「みんなで一緒に」という日本の公立校の教育に違和感を持っているようです。親としてどのような言葉がけができるでしょうか。(大阪府 女性)

今号の回答者は都立白鷗高校・付属中学校長の善本久子さん

《回答》 「なんで」と思ったら声を上げて

お子さんは長い間葛藤されているのですね。私の学校は公立ですが帰国子女枠があり、海外生活を経験した生徒がいます。学校としてダイバーシティー(多様性)尊重の教育方針を掲げており、違いに寛容な雰囲気の醸成に努めていますが、それでも「海外では『自分の意見はその場ですぐに発言しなさい』と言われてきたけど、日本ではそれはダメみたい」という悩みを耳にしたりします。

お子さんがこれまで慣れ親しんだやり方に共感するのはある意味当然ですが、「それは違いであって善しあしではない」と思えたら少し楽になるでしょうか。先日私の学校で、姉妹校のフランスの学校と「コロナ禍で世界はどう変わるか」というテーマのディスカッションをオンラインで行いました。その中でフランスの高校生が「フランスでは外出規制もマスク着用も罰則がないとみんな守らないけれど、日本は違うでしょう?」と発言しました。日本の「みんなで一緒に」の同調圧力の強さは、窮屈な面も良い方向に作用する面もあり、またそれをうらやましく思う見方もあるようです。

多様性の尊重は、お子さんが自分の経験も含めて相対化して、「違い」として受け止められるようになることだと思いますが、そこまでは時間がかかりますよね。私はこのような葛藤をむしろ多数派の日本の子どもたちも体感し、双方が時にはぶつかりながら成長していくことが大切だと思っています。公立こそ多様性に富んだ空間です。総合や道徳でそうしたテーマを国際理解教育として扱うことを、学校の先生に提案してもいいと思います。

「なんで?」と思ったら声を上げていい、でもただ否定するのではなく、その良さを探してみて、とご両親からポジティブに声かけをなさってみてください。日本の中にもいろいろなやり方や考え方はあります。今だけを見てネガティブにならないでいてくれたらと、日本の学校教育を三十数年担ってきた一人として心から願っています。

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