公立高の逆襲

注目校③勝田ケ丘志学館◆地元の浪人生を支える、米子東高内のもうひとつの「学校」

2020.11.17

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柿崎明子
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鳥取県西部にある進学校、県立米子東高校の校内には、NPO法人が運営する予備校「勝田ケ丘(かんだがおか)志学館」が設置され、地元の浪人生を支えています。志学館を立ち上げた山根孝正館長に、設立に至った思い、志学館の果たす役割を聞きました。(写真は、鳥取県立米子東高の校内で開講されている勝田ケ丘志学館の授業)

県立米子東高「専攻科」の歴史を受け継ぐ

志学館が誕生した背景には、2013年まで米子東高校に設置されていた「専攻科」がある。専攻科は、高校や大学などが本科修了後により専門的な教育を行うことを目的として設置できる。同校の場合、浪人生の受験支援を目的に1960年にスタートした。しかし、民間の予備校が増え、専攻科は役割を終えたとして廃止された。

「専攻科がなくなったことで浪人が減るとみていましたが、実際には変わりなかった。浪人生の足取りを調べると、大阪や広島など県外に出て寮生活をしながら予備校に通う層、自宅で浪人する層に分かれることがわかった。つまり家庭の経済状況で、二極化していたんです」と山根館長は語る。

米子東高校の東大合格者数の変遷をみると、専攻科があったころは例年2~3人が輩出していたが、廃止後は0~2人に減少。専攻科が難関大学への進学を支えてきたこともうかがえた。そこで専攻科を受け継ぎ、「地元に残って、友達と切磋琢磨しながら受験に向かう場所」として構想したのが志学館だった。

山根館長は、2014年から米子東高校の校長を務め18年に退職。1年間の準備期間を経て19年に志学館を設立した。同窓会に協力を依頼し、県から校内の同窓会館を校舎として使用する許可を得る。黒板など必要な校具は知り合いにもらったり、中古品をかき集めたりしてそろえた。講師はつてをたどり教員OBを中心に声をかけたところ、賛同者が現れ体制が整った。名称には「志を持って学ぶ場所にしたい」という思いを込めたという。授業料は年間50万円で、入館料や教材費、模試代金などが別途かかる。

勝田ケ丘志学館の山根孝正館長。県立米子東高の校長を2018年まで務めた
勝田ケ丘志学館の山根孝正館長。県立米子東高の校長を2018年まで務めた

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