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農業高校が元気だ! 洗浄剤開発・盆栽輸出……学ぶのは「課題解決策」

2020.11.13

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山田 優
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今、農業高校が元気です。農家の子どもたちが行く学校というイメージは薄れ、農業を通して課題の解決策を探る楽しさが、多くの生徒を引きつけています。地元の土を使って洗剤を開発したり、盆栽を育てて欧州に輸出したり、サラブレッドの子馬を育て1頭2500万円で販売したり。そんな高校生たちの姿を紹介します。(写真は、愛媛県立大洲農業高校の取り組み。同校では地域食材を利用したおむすびを開発し、県内で限定販売にこぎ着けた。農家との交流、食育講座などの実習も行っている=愛媛県提供)

地元の土を使って洗浄剤開発

栃木県立鹿沼南高校の食料生産科3年生、駒場あすかさん(18)は、毎週火曜日と金曜日にそれぞれ2時間ある「課題研究」の授業を楽しみにしています。選んだ研究テーマは、トマトタールの汚れを落とす洗浄剤開発。このタールは、トマト栽培の作業の際に手指や衣服に付着します。市販の石けんでは落ちないため、農家にとっては悩みの種になっています。指導する実習教員の野地友美さんは最初にかんたんな指示をするだけ。後は仲間と一緒にひたすら実験を繰り返します。駒場さんは「実験結果の違いがなぜ起きるのか、どう改善すればよいのかを考えるとわくわくします」と話します。

食料生産科の生徒たちは5年前から、地元にたくさんある鹿沼土を含む洗浄剤開発を課題研究として始めました。小さな穴がたくさん開いた、軽石由来の鹿沼土は、研磨剤として指紋や繊維の奥に隠れるタールをかき出す効果があると考えたからです。

効果を高めるため水素イオン濃度(pH)を調整したり、粒子の違う鹿沼土を混ぜたりする工夫を凝らし、昨年の第1回全国高校生農業アクション大賞(JA全中など主催)では、見事大賞に選ばれました。トマトタールに悩む世界中の農家に使ってもらうという壮大な夢が、広がっています。

駒場さんは、2年生の時に参加した研究成果の発表会で、当時の3年生が誇らしそうに話していた内容に興味を持ち、同級の3人の女子生徒と一緒に今の研究を引き継ぎました。今年から取り組むのは、衣料用洗剤開発と、手肌の保湿効果の実証です。同校の活躍に注目した企業と連携し、近日中の商品化をめざしています。生徒たちが企業と開発するノウハウは、特許申請にも結びつきそうです。

トマトタールを効率的に落とすために洗浄剤のゲル化に挑戦する生徒たち=野地友美さん提供
トマトタールを効率的に落とすために洗浄剤のゲル化に挑戦する生徒たち=野地友美さん提供

鹿沼南高校がある鹿沼市はサツキツツジの有数の産地。海外での盆栽ブームを背景に、日本の高校として初めてサツキ盆栽の輸出を手がけています。生徒が挿し木をして40センチほどに育て、市の花木センターに毎年数十鉢を販売。その中から一部が欧州への輸出に回ります。厳しい国の栽培地検査もクリアしています。

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