エデュアお悩み相談室
「経済的に助かる」で公立中高一貫校を目指すのは安易? 子どもの成長の見守り方をまず決めて
2020.11.25

- 親が自身の限界に向き合い、我が子に何を与えられるか考えて
- 様々な書物を読み、人の考え方に触れる努力を
- 中学受験は選択肢の一つにすぎない
《質問者》
私たち夫婦には、子どもを必ず大学へという考えはなく、やりたいことをやればよいと思っています。一方で、県立の中高一貫校に行けば、塾へ通わなくていい環境と聞くので経済的に助かります。こんな安易な考えで中学受験を目指してもいいでしょうか?(静岡県 小1女子の父)
今号の回答者は、教育家の小川大介さん
《回答》 まずは親が「人生の棚卸し」を
さて今回のご相談ですが、限られた紙面の中で内容を割愛して紹介しています。もとはかなりの長文で、お子さんの進路、人生の選び方、親の経済力、また父であるご自身の育ち方へと話がうつろいながら、ご質問は子どもの中学受験をどうしようかというものでした。失礼ながらまとまりがあるとは言えない内容でしたが、このまとまりのなさにこそ、ご相談者のお悩みの核心が表れています。「子どもには子どもの人生がある」という子育て方針に立った親が必ず直面する、「親はどこまで責任を負うべきなのか」という悩みです。
結論からお話ししましょう。子どもの自主性を育み、自らの人生を選択していってほしいと願うのであれば、まずご自身が「人生の棚卸し」をなさってください。自分の人生で誇れることは何で、できることには何があり、どんなコンプレックスを抱えていて、何をしてあげられないのか、といったことを自分自身と向き合って言葉にしてください。ご夫婦でも話し合いましょう。お金の問題にしろ、学習指導にしろ、心の教育にしろ、わが子をいくら愛していようが、自分ができることしかしてあげられません。その限界と向き合い、わが子に何を与えられるのか、何をしてあげられるのかを選んでいくのです。
学習能力を引き上げてやりたいが、家庭内の力では難しいとなれば、習い事や学習塾、通信教育などの活用を検討すればいいでしょう。今は、YouTubeの無料動画で学ぶという選択肢もあります。進学校へ進んだとして、周囲に流されることなく自分の選択をしてほしいと望むのであれば、お子さんが小4になったあたりでどんな人生を歩みたいかを話し合えるように、今からの3年間、親自身が様々な書物を読み、人の考え方に触れる努力を重ねて成長しておけばよいのです。
中学受験は、お子さんの成長に親として関わっていく上での選択肢、手段のひとつに過ぎません。ハウツーを気にする前に、ご相談者がお子さんの成長をどう見守っていきたいのか、ご家庭の「子育てビジョン」をまずは確立なさってください。