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SDGsに挑んだ小4を変身させた、先生の一言とは

2020.12.09

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関口 修司
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  • 小学校4年生がSDGs(持続可能な開発目標)に挑戦。地球環境課題について自分の考えを構築する授業を訪問。

  • 「思考ツール」を使うよう、指示を受けたM君は「環境」につなげて、「生態系の破壊」「人間のせい」と書き加え、手が止まりました。

  • 先生が「素晴らしい」「これ発表して」と声をかけると、彼は変身。次々と言葉を書き加え、グループ発表の中心に。親の一言でも子供は変わるはず。

「素晴らしい」「発表して」、やる気引き出す

地球規模の環境課題、自分の考えを構築する授業

先生の一言で子供は変わります。総合的な学習の時間で、小学校4年生がSDGs(持続可能な開発目標)に挑戦しました。地球規模の17目標のうち、環境の課題について新聞記事などで調べ、発表した後の授業でした。タブレット端末にアップされた仲間の作品も参考に、改めて自分の考えを構築します。

しかし、不安もよぎります。環境といっても4年生は社会科でごみ処理を学んだ程度。森林の重要性を知るのは5年、理科で水溶液や空気と水に関わる学習をするのは6年。算数は5年で割合、6年で度数分布を学習します。つまり、4年生では難しいグラフは読めないし、社会的・科学的な知識も不十分。意識する範囲もせいぜい都道府県レベル。果たして授業になるのでしょうか。

「人間のせい」訴え、グループ発表の中心に

担任の先生は、「思考ツール」(ウェビングマップ)を使うように指示しました。紙の中心にある「環境」の文字の周囲に具体的な問題を書き加え、線でつないで考えを「見える化」していきます。M君は初めから落ち着きません。外を見たり、隣の子供に話しかけたり。案の定、つなげて書いた言葉は「生態系の破壊」だけ。生態系の意味も理解しているのか疑問です。それでも友達の作品を見ているうちに、ひらめいたのか、それにつなげて「人間のせい=仕業(しわざ)の意」と加えました。しかし、そこで書く手は止まりました。

関口コラム5

そのとき、先生がタイミングよく声を掛けました。書けていないことは指摘せず、「なるほど、『人間のせい』か。素晴らしい」。さらに、小さい声で「これ発表して」。そのとたん、彼は変身。「環境」につなげて「森林破かい」と書き、さらにつなげて「人間がこわした」と書き入れ、太い線で「人間のせい」と結びました。そして「人間のせい」を何重にも丸で囲みました。その後の話し合いでも、彼は自信に満ちた様子で「だから、環境の問題は全部人のせい!」と発言。グループ発表はこの言葉が中心になりました。

授業の振り返りで、彼は「環境問題の知識がいっぱいになりました」と書きました。「どんな知識がついたの?」なんて言ってはいけません。ご家庭でも、SDGsの関連記事を開いた新聞をリビングのテーブルに置き、お子さんに語りかけてみてはいかがでしょう。親の一言でも、きっと子供は変わります。

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