コロナ時代の「留学」

高校生の留学に逆風 国内で体験できることは? 桐蔭、湘南…… 自治体も模索

2020.11.23

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上野 創
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柏木 友紀
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コロナ禍が留学をめざす高校生たちを直撃している。苦労の末に渡航し、海外で学ぶ機会を得た生徒がいる一方で、渡航すらままならないケースも少なくない。そんななか、日本にいながら国際交流や語学習得の機会を提供する試みも広がっている。(写真は、湘南高校の海外体験授業の様子。香港の高校生とオンラインで結び、日本文化などについて話した=10月、神奈川県藤沢市)

授業前にまず隔離 それでも「来て良かった」

玉川学園高等部(東京都町田市)2年の三日市(みっかいち)誠さん(16)は、7月から米国フロリダ州の高校で学ぶ。「勉強は大変だけど毎日が楽しい」

仕事で英語を使う父親を見て、「言葉ができれば将来の選択肢が広がる」と留学を志し昨秋、学内選考を経て、交流校へ約10カ月の留学が決まった。しかし、世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大。不安だったが、7月中旬にビザを取得し、米国への渡航を果たした。入国後にPCR検査を受け、寮から出ずに2週間過ごした。

10月まで、教室内の生徒数を減らすため、オンラインと対面が混在した授業だったが、今はすべて教室で行われている。事前に資料を読み、授業ではディスカッションに積極的に参加している。「感謝祭やクリスマスの休みにニューヨークなどに行きたいけれど、感染リスクが高いから寮で過ごすと思う。それでも留学できてよかった」という。

桐蔭学園中等教育学校(横浜市)4年の竹本健星(けんしょう)さん(16)も9月末から、米マサチューセッツ州に留学中だ。小学3年まで米国で育ち、「さらに英語の力を伸ばしたい」と学校の留学プログラムに合格したが、感染が深刻化。「行くのをやめた方がいいのかな」と迷いも生じた。8月半ばに渡航予定だったがビザが下りずに一度は延期し、しばらくは時差の関係で、横浜市の自宅から夜にオンラインで現地の授業を受けた。

それでも9月末にビザを得て渡米。9日間の隔離生活を経て10月から対面授業が始まった。「英語での授業や生活に慣れてきた。友達とのサッカーが楽しい」

留学断念きっかけ、考え抜いて選んだ未来

一方で、留学を断念した生徒も珍しくない。

埼玉県秩父市の県立熊谷西高校3年、高橋あすかさん(17)は、夏休みのボランティア留学を断念した。南米エクアドルのガラパゴス諸島で環境保全などの活動をするはずだったが、応募した文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」が感染拡大を受けて中止になった。

「環境問題に興味があり、1年前から準備していたので、ショックが大きかった。何かしないと気が収まらなかった」

浜辺の海洋プラスチックゴミをアクセサリーにし、インスタグラムに載せて販売すると反響が広がった。同じ関心を抱く人たちと、SNSやオンラインでつながりもできた。実践的な活動への意欲が高まり、悩んだ末、大学受験をやめて卒業後は環境問題と関わりながら働く決意を固めた。

「コロナがあって、後悔しない生き方を考え抜き、決断することができたと今は思う」と話す。

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