学習と健康・成長

ペットと子どもの関わり方 老いや死と向き合うことにも 獣医師に聞く

2020.11.27

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ゆきどっぐ
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日本獣医師会による「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(2015年度)」によると、子どもが同居する家庭での犬や猫の飼育する割合は46.2%だそう。家庭や学校での動物の飼育経験は、命の大切さや自然との関わり方などについて学ぶ時間になると言われていますが、実際には、どのような影響を与えるのでしょうか。獣医師の石井万寿美さんにお話を伺いました。

Masumi_Ishi

話を聞いた人

石井万寿美さん

獣医師・作家

(いしい・ますみ)大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長。専門は栄養療法をしながらのがん治療。現在はシニア犬と暮らす。著書に「動物のお医師さんになりたい」(コスモヒルズ)、「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日」(青土社)などがある。

家族全員の同意で 動物と一緒に暮らす選択を

――ペットを飼うと、子どものコミュニケーション能力や責任感が育まれるなどといったメリットをよく聞きます。子どもにとって動物(ペット)とは、どういう存在なのでしょうか?

動物たちは一般的に人間より時間が早く進み、寿命が短いです。例えば、犬の1年は人間でいう4年、シニアになると7年の時間と等しいと言われています。生まれたての子犬でも、1年ほど経つと人間でいう17歳ぐらいになるので、違いがわかりますよね。

犬や猫はどれだけ長生きしても20年間生きられる子は少ないです。老いていく様子をそばで見つめるというのは、自分自身の人生、あるいは人間の一生を見ているように感じられると思います。

――動物を飼うことで見えてくる子どもの心の動きは?

例えば、学校で嫌なことがあったり、悩みがあったりしたときに、保護者に言うよりもペットに言って癒されることが多いかもしれません。それに動物は抱っこすると体温を感じて、ほっとします。

動物は反発しないで話を聞いてくれます。保護者は忙しくて、子どもの話を聞いてあげられないことがあるけど、いつでも平等に聞いてくれる存在がいるのは子どもにとって心の拠り所になるでしょう。

それに動物は、身だしなみや持ち物で人を区別したりしません。どんな格好をしていても、いつも飼い主が大好きだと伝えてきます。それがどれだけ心の支えになるのかは、計り知れないと思います。

動物_1

――そうした拠り所となる存在がそばにいると、自己肯定感にもつながりそうですね。

そうですね。学校で嫌なことあっても、家に帰ったら犬が「お帰り」と喜びながら迎えてくれる。すると、承認欲求が満たされやすくなるでしょう。

ただ、大前提として注意していただきたいのは、情操教育のために犬や猫などのペットを飼ってほしくない、ということです。理想は、「ペットと一緒に暮らしたい」から、犬や猫が家庭にいるという環境です。

子どもは簡単に「犬や猫が飼いたい」と言うものです。どれだけ事前に「世話をする」と約束しても、ほとんどが最後まで面倒を見ず、結局は保護者が世話をすることになります。

動物を飼うことは子どもにとって責任をもって行動するきっかけにはなります。でも、最後まで責任を持つことはほとんどできないのだと、大人が理解しておくべきです。

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