海外の教育事情
「デジタル先進国」デンマークのICT教育、キーワードは三つ 保護者の役割は?
2020.11.30

ICTに触れる前に親子の信頼関係を十分に築いてほしい
――ご家庭で、お子さんはICT機器やSNSと、どう付き合っていますか?
小学2年生の息子は、まだ学校でICT教育が開始されていないこともあり、自分専用のICT機器を持たせておらず、SNSもやっていません。テレビを含めたスクリーンタイムは1日1時間に制限しています。
娘は自分専用のパソコン・iPad・iPhoneを持っていて、自宅でもそれらを使うことがあります。時間の制限は設けていませんが、毎日宿題をするのに1〜2時間、プライベートで楽しむのに約1時間使っています。
SNSは積極的にやらせないようにしているものの、コミュニケーション用としてワッツアップとインスタグラムだけ利用しています。娘からお願いされて、学校で仲の良い女の子のお母さんたちと話して、友達のグループ内だけということで許可しました。
心配な点はありますが、もうICTがない世界に戻ることはできないし、それなら子ども本人や学校と話をして利用範囲を決めて付き合っていくのが良いのかなと。危険な芽を100%摘むのは難しいと思うので、子どもの成長に合わせて悩みながら決めていけたらと思います。
――デンマークで子育てをされていて、戸惑ったことはありますか?

そもそも日本とデンマークでは国の規模もICTの進展度もまったく異なるので、教育スタイルも違っていて当たり前。そう考えると、この国のICT教育は地に足が付いたことを教えているし、妥当なのかなと感じています。
もし日本で子育てをしていたら、また違う悩みがあっただろうなと思います。日本の子どもたちの場合は、学習というよりも、You TubeやオンラインゲームをはじめとしたエンタメでICTにたくさん触れていますよね。知らぬ間にその利用時間が膨大になることもあるかもしれないし、そのあたりは日本の子どもたちの課題なのではないでしょうか。
――ICT教育に関して、日本の保護者が各家庭でできることはありますか?
最低限の制限を設けたうえで、必要に応じて議論しつつも子どもの主体性に任せることができたら、それが子どものICTスキル向上にもつながるのかなと思います。そのためには、子どもと十分にコミュニケーションができる関係性がベースにあるのが一番大事。私自身も親子の信頼があるからこそ、ちょっと危ないと思えることにもチャレンジさせられる気がしています。
「あれもダメ、これもダメ」と言われると逆にやりたくなるものだし、親が知らないところで実はいろいろなものに触れているかもしれない。それならばオープンにやらせて、親子でディスカッションしながら正しい使い方を理解してもらうのが理想的かもしれません。
(編集:ゆきどっぐ+ノオト)