コロナでどうなる大学入試

早稲田、上智、青山学院、立教……入試改革先行の大学で志望者が大幅減

2020.12.02

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中村 正史
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秋から予備校の模試が例年並みに実施されるようになり、2021年度大学入試の志望状況が徐々に判明してきた。それによると、大学入学共通テストや英語民間試験、独自試験で論述・総合問題を課した私立大学の志望者が大きく減っている。早稲田大、上智大、青山学院大、立教大などで、文部科学省が進めてきた一連の入試改革を先取りした大学といえるが、受験生には敬遠されているようだ。(写真は、昨年の上智大のオープンキャンパスでの入試説明会。今年はオンラインで高校生向けに情報を発信している)

早稲田政経2割減、上智3割減を予想

早稲田大は、2021年度入試で一般入試の内容を大きく変更する。数学を必須にすることが話題になった政治経済学部は、共通テスト4科目(数学ⅠAは必須)と、日英両言語の長文を読解して解答するなど記述式を含む学部独自の試験を導入する。国際教養学部、スポーツ科学部も共通テストを必須にする。一方、商学部は逆にこれまでのセンター利用入試を廃止し、従来型の3教科をメインにする。

河合塾の8月の模試では、政治経済学部、国際教養学部、スポーツ科学部ともに昨年比で志望者が3~4割減少。駿台予備学校の11月の模試でも、政治経済学部で2割、スポーツ科学部で4割近く減り、逆に商学部は10月の記述模試で前年を上回った。

駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「政経学部は、成績上位層の受験生にとっては共通テストも総合問題も負担にはならず、減るのは私立文系専願者や比較的下位層でしょう。商学部は、共通テスト利用がなくなることで、政経学部から受験生が流れてくる可能性があります。スポーツ科学部は東京オリンピックが延期になって人気が落ちていることに加えて、共通テストを必須にしたことが響いていると思います」と話す。

上智大は新たに共通テストを利用する。これまでTEAP(上智大と英検協会が開発した英語試験)利用型と通常の3教科入試の2方式だったのを3方式に増やし、論理的思考力や表現力などを総合的に測定する学部学科適性試験と共通テストの併用型をメインにする。しかし、模試ではこの方式の志望者は驚くほど集まっておらず、大学全体でも河合塾の模試で昨年に比べて2割以上減少、駿台は「上智大はTEAPか共通テストの英語が必要になり、3割程度減ると見ている」(石原氏)。

青山学院大は一部を除いて、メインの個別学部日程で共通テストと独自試験(論述・総合問題)を併用する。しかし、志望者は集まっておらず、従来型の全学部日程などに人気が移っている。

立教大は個別学部日程をやめ、全学部統一の日程に一本化するが、大学独自の英語試験を廃止し、共通テストの英語または英語民間試験を必須とする。試験日を複数日設定しており、最終的には人気を集める可能性はあるが、模試では河合塾と駿台のいずれも志望者が減っている。

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