コロナでどうなる大学入試

3大予備校幹部が語る 2021年度大学入試直前情報① 河合塾・富沢弘和氏「地元志向が強まる」

2020.12.07

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中村 正史
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入試を大きく変える大学は敬遠されている

私立大も国公立大と傾向は似ています。社会福祉、食物・栄養、住居・生活科学などの資格系が増えており、医療系では看護や医療技術の人気が高いです。医、歯は国公立大ほど増えてはいません。国公立大とは異なり学費が高い影響もあるでしょう。

文系は法・政治、経済・経営・商は志望者が減っています。文系は全体に低調で、地元志向を加味すると、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)や日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修)など地方からも受験生を集める大学は競争の緩和が期待できます。

理工系はやはり情報の人気が高く、機械は集まっていません。

大学別の大きなポイントは、入試を大きく変える大学が志望者を減らしていることです。

早稲田大は、政治経済学部が共通テスト(数学ⅠAは必須)と学部独自の総合問題を課し、国際教養学部が共通テストを必須にするなど、大きく変更しますが、模試での志望者はいずれも4割前後減っています。

上智大は新たに共通テストを利用し、論理的思考力や表現力などを総合的に測定する学部学科適性試験と共通テストの併用型がメインになります。しかし、この方式の志望者は集まっておらず、大学全体の志望者の減少率も高く、2割以上減少しています。

青山学院大は一部を除いて、メインの個別学部日程で共通テストと独自試験(論述・総合問題)を併用しますが、志望者が集まっておらず、従来型の全学部日程などに人気が移っています。

立教大は個別学部日程をやめ、全学部統一の日程に一本化しますが、大学独自の英語試験を廃止し、共通テストの英語または英語民間試験を必須とします。試験日を複数日設定しているので、最終的には人気を集めそうですが、模試時点では志望者が減っています。

このように入試に対するスタンスは大学によって異なり、受験生の志望動向に大きく影響しています。入試を大きく変える大学は、今回の入試改革の趣旨を踏まえ、大学の求める人材像を明確にし、それに即した独自試験を実施するという点で評価できます。しかし、こうした大学が限定的なものとなってしまったこと、また受験生にとっては他大学と併願がしづらいことから、敬遠されています。

9月から出願が始まった総合型選抜(旧AO入試)や、11月から始まった学校推薦型選抜(旧推薦入試)は、一般選抜を避ける受験生で志願者が増えると思われていましたが、増えていません。総合型選抜は各種大会などが新型コロナで中止になって活動実績に自信が持てなかったこと、学校推薦型選抜は首都圏の大学を避ける動きが影響しているかもしれません。

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