コロナ時代の塾活用法
オンライン授業でも子どもは伸びる? 大手も中小塾も注力 保護者アンケで見えた課題は
2020.12.08

横から答えを教える母親も
これまで「地元密着型」でやってきた小さな塾にもチャンスが生まれている。東京都台東区の進学個別桜学舎には、千葉や福岡からも入塾の申し込みが舞い込む。亀山卓郎塾長が今年、タレントの小島よしおさんによる授業動画の監修を務め、知名度が上がったこともプラスに働いた。
亀山さんが初めてオンライン授業に取り組んだのは2年前。父親の赴任先であるインドで暮らしている小学生に教えるためだった。その経験を踏まえ、新型コロナの感染が広がってきた3月の第2週から双方向のオンライン授業を始めたが、4月にいったん中止した。子どもたちの集中が続かなかったためだ。「質問に答えられないとカメラを切って逃げたり、通信不良のふりをしたり。横からこそこそ答えを教えるお母さんもいました」(亀山さん)
しかし、学習への不安を訴える声が多く、5月にオンライン授業を再開。6月中旬からは半分は対面授業に戻し、週2回なら1回は対面で1回はオンラインで受けられるようなスケジュールを組んだ。亀山さんは「保護者や生徒が求めているのは、その子のパーソナリティーを把握して相談にのること。オンラインの方がいきいきする子もいるし、救える子が増えました」と話す。
塾の業務管理アプリ「Comiru(コミル)」を手がけるPOPER(ポパー)が7月に実施した調査によると、完全オンライン授業になった場合の塾選びは「全国もしくは同一都道府県内で選びたい」という保護者が半数を超えた。

POPERの調査では、塾によるオンライン授業の良かった点として、保護者の半数以上が「通塾に時間・手間がかからない」を挙げた。新型コロナウイルスの感染者が多い状況では約80%がオンライン授業を希望。感染者が少なくなってきた段階でも「対面授業だけを望む」としたのは35%に過ぎず、対面授業に加えてオンライン授業や動画コンテンツの提供を求める人が多かった。塾経営の経験もあるPOPERの栗原慎吾社長は「実際にオンライン授業を経験して、クオリティーに納得した人が多いのでしょう。そのため、この質で通塾の手間がないのなら、オンラインを選びたいという人は一定数いる」と話す。
一方、課題は「子どもの理解度を把握できているか不安」「個別質問できない・しにくい」を挙げる保護者が多かった。栗原代表は「オンラインだと進捗(しんちょく)管理がしづらかったり、先生のちょっとした声がけができなかったりする。授業の内容だけではなく、その後のフォローも含めて提供することが、オンライン授業を定着させていくポイントになるのではないでしょうか」とみる。