コロナ時代の塾活用法

中学受験を目指すなら、小4から塾に入るのが当然? 塾通いの「適齢期」を考える

2020.12.10

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葉山 梢
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中学受験を目指す場合は、新4年生から塾に通い始めるのがいいと言われます。子どもにやる気がなくても、とりあえず早めに受験モードに切り替えたほうがいいのでしょうか。中学受験に詳しい教育ジャーナリストの中曽根陽子さんに聞きました。

中曽根陽子

話を聞いた人

中曽根陽子さん

教育ジャーナリスト

なかそね・ようこ/マザークエスト代表。小学館を退職後、1994年に発行した「子どもとでかける大阪あそび場ガイド」(メイツ出版)はシリーズ累計80万部超。「一歩先行く中学受験 成功したいなら『失敗力』を育てなさい」(晶文社)など著書多数。2013年「親を人材育成のプロに」というコンセプトのもと母親自身が新しい時代をデザインする会員制コミュニティ「マザークエスト」を立ち上げる。

子どもの「やりたい」が大事

最近の中学受験の傾向として「低年齢化」が挙げられます。受験する層が少なかった時代は、塾に行くのは小5からというのが普通でした。受験生が増えて入試が難しくなったことから、塾は4年生から3年間のカリキュラムを組むようになりました。熱心な保護者の間では小学校に入ったころから、塾をどうするかが話題になります。大手塾の中には人気のあまり、4年生からでは入れない校舎もあります。

でも、そんなに早く塾に入っても、モチベーションが続く子ばかりではありません。最初はリードしたとしても、後から入ってきた子にいずれは追いつかれます。それに、多くの塾では、1・2年生のコースは受験勉強ではなく知育です。家庭で様々な遊びや体験をさせ、粘り強さや集中力といった「非認知能力」をつけた方が、いざ勉強となったときにぐっと伸びるでしょう。

中学受験の勉強は量が多く内容も高度なので、4年生から少しずつ慣らしていったほうがいいという主張には一理あります。ただ、3年かけないと絶対に合格できないかというとそんなことはありません。もっと遅くから始めても合格した例はたくさんあります。

たとえば、5年生から塾に通い始めた男の子は、読書は好きでしたが、学校外での勉強は宿題をやる程度。当然ながら最初は塾の授業についていくのが大変でしたが、基礎力をつけるために家庭で毎日計算ドリルを欠かさずやり続けたところ、半年ぐらいたったころから成績が上がり始め、最終的には最難関校に合格しました。

また、ある女の子は習い事に夢中で、親は公立中に進学させるつもりでした。友だちの影響で「受験したい」と言い出したのは5年生の終わり。習い事と両立させるため個別指導塾に通うことにしました。志望校に特化したオリジナルのカリキュラムに沿って効率よく勉強し、合格を勝ち取りました。ただし、個別指導塾の費用は、一般的な集団指導の塾に3年通うのと同じくらいかかったそうです。

中学受験を成功させるには、子ども自身が「合格したい」という強い気持ちを持つことが大切です。なんとなく入塾テストを受けて、なんとなく受験勉強を始めたのでは、モチベーションが湧かないのは当然です。人より遅いスタートでも、子ども自身の「やりたい」という意思があればうまくいくはずです。

とはいえ、多くの家庭では、子どもの意思より親の意向が先に来るのではないでしょうか。親は子どもに様々な選択肢を見せて提案してください。目標となる学校を探し、受験の先の学校生活を具体的に見せてあげるのが一番効果があるでしょう。

学校選びは偏差値だけにとらわれない方がいいと思います。今は教育の大改革期。変化にいち早く対応しているのは、必ずしも偏差値の高い学校ではなかったりします。従来のような大学受験をゴールにした教育がいいのか、それともリベラルアーツ・探究型で学ぶ力を育てる教育か。自主性を尊重する校風か、面倒見の良さか。子どものタイプや家庭の考え方に合う学校を探してください。

入試についても、算数1科や適性検査型、プレゼンテーション、プログラミングなど間口が広がっています。うまく活用すれば、習い事や好きなことをあきらめずに両立することも可能でしょう。

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