文系、理系の壁

東京女子学園中高・河添健校長「中高でデータサイエンスを教える理由」

2020.12.10

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中村 正史
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大学受験では文系、理系に分かれるのが日本の特徴ですが、最近は文系社員が多い企業でもAI(人工知能)やデータサイエンスの基礎を教える動きが出てくるなど、文理融合が求められるようになってきました。来年度から中高一貫でデータサイエンスの授業を始める東京女子学園中学・高校の河添健校長にその狙いと数学教育のあり方などについて聞きました。

河添健

話を聞いた人

河添 健さん

東京女子学園中学校・高等学校校長

(かわぞえ・たけし)慶應義塾大学名誉教授。慶應義塾大学大学院工学研究科博士課程修了。理学博士。慶應義塾大学工学部専任講師を経て、2000年から総合政策学部教授、11~13年慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部長、13~19年総合政策学部長。20年4月から現職。専門は調和解析。

文系の生徒に理系のセンスを育成

――来年度からデータサイエンスの授業を展開するそうですね。

東京女子学園は、典型的な文系の中高一貫校ですが、2021年度から中学と高校で「探究の時間」を使って、データサイエンスとゼミの授業を行います。「Data Science and Design,Arts」というのが授業名です。

数学を教えようとすると数学嫌いになるので、生徒が楽しくなるような授業をしようとしています。3Dプリンターを使ってものをつくるなど、データにまつわることから興味を持ってもらおうと思っています。英語や国語、理科や社会、芸術や体育などの授業の中でも、データサイエンス的な内容を入れたいです。

――河添さんは数学者でもあります。大学では3年前からデータサイエンス学部がいくつかできていますが、高校でデータサイエンス教育をするのは珍しいです。

うちの学校は伝統的に英語教育に力を入れていて、40年前から米国シアトルにホームステイしています。最近のグローバル教育を先取りしていた学校です。

ただ、現在は環境が変わり、英語プラスアルファが必要です。文理融合が大事で、そこにデータサイエンスを持ってこようとしています。大学もデータサイエンスに注力するようになったので、そこに接続するプログラムにしたい。世の中が変わってきているので、文理融合の教育を中学段階から行う必要があります。

最近はSTEM(Science=科学、Technology=技術、Engineering=工学、Mathematics=数学)にArts(芸術)を加えてSTEAMと言われ、理系の教育を面白くしようとしていますが、文系も楽しくしなければいけません。うちの文系の生徒に理系のセンスを育成しようとしています。

――具体的にはどんなプログラムになりますか。教える側のスキルを高めることも必要です。

高校は国際教養コースと未来創造コースに分かれますが、どちらのコースに進んでも英語とデータサイエンスを学ぶようにします。国語の教員でデータサイエンスに興味を持っている人がいるので、その教員を中心に、だれでもわかるデータサイエンスを教えようとしています。教員には教員会議の場などを使って研修を実施しているところです。

中1では「コンピューターって何だろう」から始まり、6~7月に「グラフを上手に使おう」で統計の基礎を教えます。中2の「フェイクニュースにだまされない方法」で情報リテラシーを、中3の「3Dプリンターでものづくり」でデジタル・ファブリケーションを学びます。高校では、「AIのキホンを学ぼう」「デザイン思考で我が家の改善」などの授業を用意しています。企業との連携授業も行う予定です。

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