文系、理系の壁

開成中高・野水校長「開成は7割が理系だが、文系の素養が大事」

2020.12.11

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中村 正史
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関西の進学校を中心に、理系志望がこれまで以上に増えています。世の中には理系重視、文系軽視の風潮もあります。一方、最近は文系社員が多い企業でもAI(人工知能)やデータサイエンスの基礎を教える動きが出てくるなど、文理融合が求められています。名古屋大学で長く国際交流を担当し、今年4月から開成中学・高校の校長に就任した野水勉氏に、同校の文理選択の状況と、文系・理系についての考えを聞きました。(写真は開成中高の校舎。現在は建て替え工事中)

高樹のぶ子さんを招いて「伊勢物語」の授業

――開成は東大志望者が多いので、文系志望でも数学を勉強するでしょうが、多くの高校は高校1、2年で文系、理系に分かれ、私立文系志望だと数学を勉強しなくなる生徒がいます。開成ではどんな授業をしているのですか。

開成の国語の授業は、本を読ませて考えさせ、議論させます。身に覚えのない事件の殺人犯だとネットで書き込まれて長年、中傷を受けたお笑い芸人のスマイリーキクチさんの本を中2生に読ませて、キクチさんに講演に来てもらい、その後に生徒たちが議論しました。中3の古文の授業で「伊勢物語」が出てきたら、作家の高樹のぶ子さんが今年出した『小説伊勢物語 業平』を読ませ、10月に高樹さんに出張講義に来てもらい、生徒からは活発な質問が出ました。考えさせる、書かせる授業を重視しています。

理系に進んでも、そういう素養が大事です。文系も大学に入って数学や情報を学ばなくていいかと言えば、それは違います。海外の研究者の中には、法学が専門で、コンピューターに強くてプログラミングをする人もいます。狭い分野を教えて卒業させればいいという教育では、伸びるのかが心配です。

文系にしても理系にしても海外に行って苦労して戻ってきて、転身して成功している人が多い。開成の卒業生も同じです。これからはもっと海外経験することが自分の進路を広げ、キャリアに大きく貢献することになります。

――開成は海外の大学の情報も積極的に生徒に伝えています。随分前に聞いた時は毎年2、3人が海外の大学に行くと言っていました。

卒業後に海外の大学に進む生徒は年間10人くらいに増えています。高校では通常授業の放課後7・8限に毎日2コマ、ネイティブ教員が希望者を対象に英語を指導する英語特別講座があります。欧米の大学に進学するには、TOEFL-iBTで100点(120点満点)とか、IELTSで7.5点(9.0満点)などのハイレベルな英語力が求められますが、このレベルに達している生徒が学年によって20~30人います。

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