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課題解決のためのデータ・サイエンスも必修 津田塾大学 「女子大初」の総合政策学部

2020.12.16

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白石圭
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「課題解決に貢献する人材」の輩出をミッションに掲げる津田塾大総合政策学部。「ほぼ100%」文系出身者が集まるものの、社会課題の解決のためのデータ・サイエンスを身につけられる学部としても、注目が集まっている。(写真提供/津田塾大)

東京・小平に学芸学部を設置していた津田塾大が、2017年、都心部の渋谷区千駄ケ谷に新キャンパスを構えた。ここに誕生したのが、「女子大初」となる総合政策学部だ。創設から4年目、学部長の萱野稔人(かやの・としひと)教授は「本学部の社会的役割は大きくなっている」と話す。

 「働き方改革、出産・育児と仕事の両立など、社会課題は山積みで、女性が社会に関わる度合いも高まっている。またプレーヤーとしてだけでなく、組織を動かすマネジャーとして女性が課題解決に関わる重要性もますます高くなっていると感じます」(萱野教授)

 新キャンパスの利点も実感しているという。学生が渋谷区の企業と連携したり、都心部の拠点として地方自治体にキャンパスを活用してもらったりした例もある。

 「私のセミナーでは、省庁の官僚と税や財政問題などについて議論することもあります。これもアクセスの良さが生かされています」(同)

 「予想以上の成果」学外で上げる

 課題解決能力のための基礎科目として、同学部では「英語」「ソーシャル・サイエンス」「データ・サイエンス」の3本柱を掲げる。

 「これまでの大学の英語教育では文学的な内容が多かった。しかしこの学部では、他者との合意形成を実現し、課題解決を進めるために必要な英語力を身につけることを目的に、実践的な英語の科目を設置しました」(萱野教授)

 2年生のシラバスを見ると、週4コマの必修授業として、「Negotiation Communication for Problem Solving」、「Conflict Resolution Communication for Problem Solving」などの科目名が並ぶ。

 「課題解決のためには、日本だけでなく、国境を超えてどのようにルールをつくるかが重要。コミュニケーション、ネゴシエーション、ライティングといったスキルを身につけてほしい」(同)

萱野教授
「学生に共通しているのは、何かに取り組みたいという意欲の高さ」と話す萱野教授。「関心がある人であれば、それを展開することのできるリソースが、小さなキャンパスに詰まっています」

 目玉は、統計学やプログラミングなどを必修とするデータ・サイエンスだ。課題解決の現場では、科学的な根拠にもとづく原因究明や施策の効果測定が必要になる。

 「入学者の100%近くは文系。そのため理系分野の教育は創設当初からの課題でしたが、予想以上の成果を上げています。課題解決のためのデータ・サイエンスを身につけるという目的が達成されていると感じます」(同)

 19年には、クレジットカードの取引データから不正取引を予測するAIをプログラムする大会(ハッカソン)で、同学部の学生が優秀賞を獲得した。また同年、有志のチームが学生向けコンペティションに出場し、ビジネス提案部門で最優秀賞を受賞。都心部のマンションの空室データを分析し、新商品をPRしたい家具メーカーなどと連携して1部屋1泊500円で提供する新規サービスを提案した。

 

コンペティション
日本経済新聞社主催の「Data Science Fes 2019 学生データコンペティション」。実際の企業から提供されたデータを分析し、新規ビジネスを提案した

 学生がこうした分野で活躍する背景には「教員と学生の距離の近さもある」と、総合政策学部総合政策学科主任・森川美絵教授は指摘する。

 「自分の所属セミナーや専攻領域に限らず、学生が研究室を訪れ、データ処理の方法などを聞きにくる様子も見かけます」(森川教授)

森川教授
学科主任の森川教授。「これまで積極的ではなかった人も、大学で刺激を受けて活動的になる。『ここでならいろんなことができそう』と思ってもらえる学部です」

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