学習と健康・成長
眼科医が教える目に関するウワサのうそと本当 目に悪いのはゲームそのものより……
2020.12.14

新型コロナウイルスの影響で、年末年始は外出を控えるご家庭も多いでしょう。屋内で多くの時間を過ごすことになると、宿題や受験勉強はもちろん、ゲーム、本、スマートフォン(以下、スマホ)といった手元での作業で目を酷使しがち。実は視力の低下が進みやすいシーズンでもある冬場、子どもの目を守るにはどうしたらよいのでしょうか。小児の近視に詳しい医師の五十嵐多恵さんに伺いました。
(いがらし・たえ)東京医科歯科大学の眼科学教室で外来診療を担当するかたわら、子どもの視力低下や、近視の進行予防についての研究を行っている。2019年5月、最先端の知見を基に近視を総合的にサポートする「先端近視センター」を設立。日本で初めて小児から高齢者までを対象とし、治療などを行っている。
「本やテレビを近くで見ると目が悪くなる」のはなぜ?
――2019年12月に発表された「平成30年度学校保健統計調査」によると、「裸眼視力1.0未満の者」の割合は、幼稚園で26.68%、小学校で34.10%、中学校で56.04%、高等学校で67.23%。小学校の近眼の率は、過去最高とされています。

日本だけでなく、世界中で子どもの近視が問題視されています。その原因の一つとされるのが、スマホ。実は、スマホが普及した2014年頃から、世界規模で子どもの近視が増加傾向にあるのです。
スマホは、片手で持つことが多いため、つい目から20cm以内に近づけてしまいがち。この「近距離を見る」という行為が、近視を進めます。小さな画面を長時間、見続ける習慣は、従来は近視を発症しにくいとされてきた17歳以上の大人にも影響を及ぼしています。
もともと眼球は、前後に伸び縮みすることで近くにも遠くにもピントが合わせられるようにできています。しかし近くにピントを合わせ続けていると、眼球が前後に伸びたままとどまり、近くはハッキリと見えるが遠くはぼんやりとしか見えない状態になる。つまり、近視が進行してしまうのです。

――「本やテレビを近くで見ていると、視力が悪くなる」という説をよく耳にしますが、それは間違っていない、と。
そうですね。本やテレビ、スマホを見るときだけでなく、机の上で勉強する際も、目から30cm以上の距離を取ることが大切です。
同時に、20~30分ごとに、6m以上先のものを見て、目を休める習慣を。近くを見る際に伸びていた眼球が固定化するのを防ぐのが狙いです。遠くを見るときは、6m以上であれば別の部屋の壁でも、窓の外の自然や空、ビルでも構いません。
――「暗い場所で本などを見ると、目が悪くなる」とも聞いたことがあります。
近視が進行する直接の原因にはなりませんが、眼精疲労を引き起こす原因にはなるはずです。
暗い場所にいると、目は光をたくさん取り込むために瞳孔を開こうとします。一方で、近くを見ようとするとき、瞳孔には縮もうとする働きがある。暗い場所で手元を見る際は、瞳孔に2つの相反する力がかかるため、目に大きな負担がかかるのです。
